株式戦略マル秘レポート/藤村哲也の「次のお宝株を探せ!」

全日空と日本航空の比較!今後の行方は?

2012年は全日空は大型の公募増資を行い、日本航空は再上場を果たしました。両社とも市場から大量の資金調達を行いました。新たに株主になった方も多いと思います。両社は色々な面で比較されますが、株の評価に関わる部分に限って比較をしてみましょう。結論から申し上げますと全日空は今後お宝銘柄にもなり得る存在です。一方、日本航空も再スタートを切ったばかりですから今後の行方に注目は怠れません。

藤村 哲也

執筆者:藤村 哲也

株式ガイド

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 ★業績での比較

2012年3月期で比較すると日本航空は売上が1兆2000億円、全日空は1兆4000千億円です。営業利益は日本航空が2000億円、全日空が970億円です。日本航空がリストラや路線の縮小などで確実に収益力が増してきていることが一目瞭然です。この点は、当面日本航空に軍配が上がりそうです。

★株主還元での比較

全日空の最低買い付け単位は1000株。2000株購入すると投資額35.2万円。これに対し配当は年間8000円(4円配当)、優待券が20000円相当(年間4枚 注意 1枚5000円で換算していますが、買い取り額は変動します)優待券1枚で片道1区間の運賃が半額。ですから35万円の投資で28000円相当の還元があり、総合利回りは8%となります。

一方、日本航空の最低買い付け単位は100株単位で100株の購入で投資額36万円。これに対し配当はまだ無配です。優待券は年間1枚で5000円相当、優待券1枚で片道1区間の運賃が半額となります。要するに36万円の投資に対し5000円の還元にとどまり、総合利回りは1.38%となります。もちろん、今後、配当が出てきましょうが1000円から1500円程度で全日空には当面及びそうもないのが現状。株主還元の点では当面、全日空に軍配が上がりそう。

★その他の比較

英スカイトラックス社が200社以上の航空会社を「チェックイン」、「座席の快適さ」、「客室の清潔さ」、「機内サービス」、「乗務員の接客」など多岐に渡る基準で評価した2012年版のワールド・エアライン・アワードを発表しています。1年間でもっとも優秀だった航空会社を表彰する「エアライン・オブ・ザ・イヤー」では全日空が5位、日本航空は35位。

1位:カタール航空(カタール)
2位:アシアナ航空(韓国)
3位:シンガポール航空(シンガポール)
4位:キャセイパシフィック航空(香港)
5位:全日空

35位:日本航空

アジア系の航空会社が毎年上位に多く顔を出しており、国際的に高い評価を受けています。その中で、日本の航空会社は数年前まで10位以内にも入っていませんでしたが、昨年は全日空が5位に躍り出ました。こちらは堂々と全日空に軍配。

★良くも悪くも中国便の影響度合いは?

2012年9月、日本政府による尖閣諸島の国有化に抗議する反日デモが中国で激化したことを受け、全日空と日本航空の日中間を結ぶ路線では9~11月の団体客の予約キャンセルが続出しました。団体客キャンセルの内訳は、日本航空は日本発が約6900席、中国発が約8600席、全日空は日本発が約10000席、中国発が約27000席です。(9月21日時点)この他でも日本企業の出張自粛の動きが拡大してビジネス需要の減少も顕著となり、両社は10月発着便の一部について航空機の小型化や減便を決めました。

直近の決算発表時においても、中国便減少の影響を織り込んだ予想が発表されています。日本航空は中国便の減少はあるものの上方修正、全日空は売上高のみを下方修正しています。こちらは中国便の影響が少ない日本航空に軍配が上がりそうですが、あくまでも短期的な話、将来性からすると中国便に力を入れてきた全日空は悪影響がなくなればいい評価となりましょう。

★羽田空港の発着枠増加!

国土交通省は羽田空港の国内線発着枠の配分基準について、航空会社を採点し、それをもとに配分枠を決める案を示しています。2013年3月末から年間2万回(1日25便)増えます。日本航空については、「破綻期間中は公的支援によって運航できた」と位置付け、この期間の日本航空の実績をゼロにするとしているため、全日空が採点で日本航空を大きく上回ることがほぼ確実な状況です。月内に意見が集約されて、年内に配分枠が決まる見込みです。この点でも全日空に軍配が。

総合的に見てやはり全日空に軍配があがりそうですが、もちろん株にはこのような評価は含まれた上で株価が形成されております。逆にいえば日本航空は今後良くなる余地が大きいともいえましょう。引き続き両銘柄から目が離せない状況が続きそうです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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