倒産・民事再生/倒産・民事再生の基本

倒産とは?倒産時に取るべき4つの法的手続き(3ページ目)

「倒産」「破産」「民事再生」「会社更生」など似たような言葉の多い倒産手続き。それぞれどのような特徴や共通点または相違点があるのか、一度知識の整理をしてみましょう。

執筆者:榊原 正治朗

再建型手続の代表「民事再生」とは

事業継続のための再生計画案を立てる

「民事再生」では、事業継続のための再生計画案を立てていく

破産が清算型の倒産手続の筆頭とすれば、民事再生は再建型の倒産手続の筆頭ですが、実は平成12年4月から実施された比較的新しい手続です。

一定規模以上の法人では、事業の清算による社会的影響も大きいことから、再建型の手続が選択される傾向にあります。世界的な金融危機の引き金となったリーマン・ショックの際、リーマン・ブラザーズ証券株式会社などの日本法人が申し立てた倒産手続も民事再生でした。

民事再生手続の主な特徴は、以下の3つ。
  • 債務者主導の再建型の手続であること
  • 個人でも法人でも利用できること
  • 債務の返済に関する再生計画案が、一定の債権者の同意が得られる等の要件を満たし、裁判所によって認可されなければならないこと
民事再生手続では、倒産した法人が主体となって、事業を継続し、再生計画案を立案することが基本です。ただし、日常業務にあたらない重要な財産の処分等については、法人の資産状況が悪化しないよう、裁判所により選任される監督委員の同意を得なければならないという制約が課せられます。

民事再生手続は、個人でも、法人と同様に利用することができます。住み慣れた住宅を手放したくない等の理由で破産を避けたい場合に、個人の民事再生手続はよく利用されています。ただし負債総額が5000万円以下の場合、個人用に手続が簡略化された「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」とのどちらかを利用するのが一般的です。

法人、個人のいずれの民事再生手続でも、破産手続と比較して返済率が高くないと、債権者にとってメリットがないことから、これを上回ることが再生計画案の条件とされています。

また民事再生手続の場合は、手続が開始されても担保権には影響しないので、注意が必要です。例えば、倒産した企業の本社に金融機関の抵当権が設定されている場合、何もしないと競売を申し立てられてしまいます。事業を継続するうえで本社を手放せないようなときは、金融機関と協議して、再生計画案による返済とは別に、本社の価値に見合う額について返済方法を協定しなければなりません。

民事再生手続きを成功させるための重要なポイントは、次の記事でご紹介していますので、あわせてご参照ください。
【関連記事】
民事再生手続きを成功させるための5つのポイント

次のページでは、特別清算と会社更生について、解説します。

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