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歩いて行ける!東京駅周辺の美術館

実は周辺にアートスポットが多い東京駅エリア。中でも駅から徒歩圏内の3つの美術館『東京ステーションギャラリー』『三菱一号館美術館』、そして2019年に開館予定の『ブリヂストン美術館』に注目し、それぞれの特徴・見どころをレポートします。

藤丸 由華

執筆者:藤丸 由華

東京ガイド

東京駅ナカ、駅チカのアートスポット

東京ステーションギャラリー

『東京ステーションギャラリー』は約100年前の赤レンガが効果的に使われた駅ナカ美術館

第二次世界大戦の空襲で失われたドーム屋根と3階部分が復活し、現代の高度な技術をもって創建当初の姿を復原した東京駅丸の内駅舎は、明治・大正を代表する建築家・辰野金吾の作。駅舎自体が国の重要文化財です。そんな東京駅で“駅ナカ美術館”(改札口のすぐ外の“駅(舎)中”です)として開館している『東京ステーションギャラリー』をはじめ、「電車に乗るまでちょっと時間がある」という時に東京駅から5分以内で歩いて行ける美術館を3つご紹介しましょう。


ショップには東京土産が大充実!
『東京ステーションギャラリー』

TRAINIARTの店内

美術館のお楽しみ、ミュージアムショップには東京駅土産がいっぱい

まずは東京駅の駅舎内・丸の内北口改札すぐ外にある『東京ステーションギャラリー』。1988年に誕生したこの美術館は東京駅の歴史がしみこんだレンガ壁の展示室を持つ美術館として親しまれ、一時休館後、2012年10月1日、東京駅丸の内駅舎復原完成と同時に再び開館となりました。

館内は1階~3階の3フロア。1階がエントランス、2階と3階が展示室で、旧ギャラリーのシャンデリアがつり下げられた2階と3階をつなぐ八角形の廻り階段も見所の一つです。

展示室

展示室にも東京駅の歴史を感じさせるレンガが

東京ステーションギャラリーは駅舎の中にあるというのも特別ですが、展示室で存在感を放つ100年前のレンガ壁も個性的。展示する作品は、毎回そんな展示空間を考慮して選ぶのだそうです。また駅ナカゆえにフロアの広さも限られているため、作者の名前だけで人が呼べるような展覧会より、「どんなアーティストなのだろう?」と好奇心を持って入りたくなるような会を開催しているそう。近代の歴史に埋もれた作家や現代アート、建築やデザインなどをテーマにした展覧会を年5回開催。また建物の歴史解説ツアーを定期的に実施しています。

レターセット

縁がレンガのデザインになっているスタイリッシュなレターセット

ところで私がなかなか動けなくなってしまったのが、ギャラリーに入館しないと入れない、2階にあるショップ『TRAINIART』。世界各国のアート商品などの他、ここにしかない東京駅グッズも充実しているのです。 ステーションギャラリーのロゴを手がけたデザイナーによるブロックメモ・Brick Block Memo(1800円/以下全て税抜)や、赤レンガをモチーフにしたスタイリッシュなレターセット・Brick Envelopes,letters(800円)。そして新しい駅舎がデザインされたパッケージに老舗飴店・榮太樓の飴が入った『榮太樓飴東京駅オリジナルパッケージ』(476円)などはどれもTRAINIARTでしか手に入らないオリジナルグッズ。東京土産としても活躍してくれそうです。

<DATA>
東京ステーションギャラリー
住所:東京都千代田区丸の内1-9-1 
TEL:03-3212-2485
入館料:展覧会による
営業時間:10:00~18:00(金曜日のみ20:00まで)
※入館は閉館の30分前まで
定休日:月曜日(祝日が月曜日の場合は翌日)、年末年始、展示替期間中
アクセス:JR『東京』駅 丸の内北口改札前


19世紀末にタイムスリップ
『三菱一号館美術館』

三菱一号館美術館

オフィスビルの中、丸の内エリアでひときわ目立つ存在の『三菱一号館美術館』

東京駅丸の内南口から徒歩5分。近代的なオフィスビルが建ち並ぶ中、突如明治時代にタイムスリップしたかのような赤レンガの建物が出現します。これが『三菱一号館』。丸の内で最初のオフィスビルを2009年に復元した建物です。

そもそも事の起こりは1890年、三菱社の岩崎彌之助が丸の内一帯の土地を取得し、まちづくりに着手したことからはじまります。最初に建設されたのが洋風建築のオフィスビル・三菱一号館。当時は三菱合資会社が入っていた他、一部は貸事務所でもありました。この建物の建設を皮切りに、丸の内はビジネス街として歩み始めますが、1968年に三菱一号館は老朽化のため解体。しかし40年の時を経て復元され、2010年春、美術館として開館したのです。

復元は明治時代の設計図や文献、貴重な写真、保存されていた石材などをとことん調べ上げ、可能な限り忠実に復元されました。例えば三菱一号館の象徴ともいえるレンガは、現代の作り方だと当時の質感がでないという理由から、明治時代に近い製造方法が残る中国に発注し、230万個ものレンガが海を渡ってやってきた、という具合です。

展示室

展示室。ロートレックの親友が保存していたという180点のグラフィック作品は状態が大変良い貴重なコレクション

19世紀末の建物を復元している美術館だけに、展示・収蔵される美術品も19世紀末のものが中心。特にロートレックのグラフィック作品は、世界的に見ても保存状態の大変良い約180点が、美術館のコレクションとして収蔵されています。

 

1/40模型

楽しい発見がいっぱいの1/40模型

三菱一号館美術館は付属施設も見逃せません。無料で入れる『三菱一号館歴史資料室』には三菱一号館の1/40の模型や、映像があり、話題の東京駅を含む丸の内一帯の歴史を知ることができます。ちなみに模型の中の、当時の銀行営業室が再現されている部分を覗くと、ちょっと場違いなおかめのお面が。これはあの岩崎弥太郎が「お客様にはこのおかめのように愛想よくするべし!」という教えを込めて購入したという由来のあるお面で、かつて三菱一号館にも飾られていたのだそうです。

 

Cafe 1894

カフェは1/40模型の中に入ってしまったかのような空間です

また『Café 1894』は、昔の一号館と同じ8メートルの吹き抜けや、当時の銀行窓口も復元されているカフェ・バーで、明治時代のクラシカルな雰囲気の中、ランチやディナーを楽しめます。

ところで東京駅丸の内駅舎を設計した辰野金吾は、三菱一号館を設計したジョサイア・コンドルの弟子。三菱一号館と丸の内駅舎を見比べれば、建築家師弟対決も楽しめます。

<DATA>
三菱一号館美術館
住所:東京都千代田区丸の内2-6-2 
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
入場料:展覧会により異なる
開館時間:10:00~18:00
※祝日・振替休日除く金曜、展覧会会期中の最終週平日は20:00まで
※入館は閉館時間の30分前まで
※臨時の時間変更の場合あり
休館日:毎週月曜(祝日・振替休日・展覧会会期中最終週の場合は開館)
年末、元旦、展示替え期間
※臨時の開館・休館の場合あり(WEBサイト等を確認のこと)
アクセス:JR『東京』駅 丸の内南口から徒歩5分


2019年に新美術館オープン予定!
『ブリヂストン美術館』

(仮称)永坂産業京橋ビル ビル外観イメージ

(仮称)永坂産業京橋ビル ビル外観イメージ (C)株式会社日建設計

東京駅八重洲中央口からまっすぐ延びる八重洲通りを進むと、徒歩5分で現在工事が行われている京橋一丁目東地区の開発エリアへ到着します。その中の1棟・永坂産業京橋ビル(仮称)の中に2019年に開館予定なのが、2015年から長期休館に入っている『ブリヂストン美術館』。株式会社ブリヂストンの創業者・石橋正二郎の個人収集から始まった石橋財団コレクションを公開するための美術館です。

新ブリヂストン美術館 外観イメージ

新ブリヂストン美術館 外観イメージ

ブリヂストン美術館の凄さは、私立の美術館でありながらモネ、ルノワール、セザンヌ、マティス、ピカソなど、日本で人気の高い印象派と20世紀美術を中心に2500点以上ものコレクションをもっていること。石橋正二郎は戦前、日本近代洋画を収集していましたが、戦後「日本の洋画家達の作品と、彼らがお手本にしたフランスの画家達の作品を一緒に並べたい」との想いから、西洋美術を収集しはじめました。それは海外に簡単に行けなかった時代、一般の人達が西洋美術に触れる場となり、また芸術家の卵達の学びの場ともなったそうです。

特に印象派のコレクションの充実度は世界でも知られていて、本場フランスから訪れる人もいるのだとか。ルノワールの『すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢』やセザンヌの『サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール』など教科書に出てくるような作品も多いので、印象派入門として訪れるのも楽しい美術館です。

新ブリヂストン美術館 展示室イメージ

新ブリヂストン美術館 展示室イメージ

建設中の地上23階のビルでは、1階から6階が新ブリヂストン美術館。1階がエントランスロビーとミュージアムカフェ。2階がミュージアムショップ、3階には受付と多目的ホール。そして4階から6階の3フロアが展示室(約2100平方メートル)。旧美術館の実に約2倍の面積をもつ展示空間がお目見え予定です。

<DATA>
ブリヂストン美術館
住所:東京都中央区京橋1-10-1 
アクセス:JR『東京』駅 八重洲中央口より徒歩5分
開館時期:2019年秋(予定)

特徴を知るとどんどん興味が出てくる東京駅周辺の個性豊かなアートスポット。東京駅に着いてすぐ、または電車の出発の時間までを上手く調整して、芸術を存分にお楽しみ下さい。
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