トヨタのパッソよりも高くつくが……
日本で「コンパクトカーを買う」ということは「日本車から選ぶ」を意味した。実際、輸入車を買うとなれば圧倒的に高価なため、比較の候補にならない。しかし。VWがフル装備で149万円という手頃な価格設定の『up!』を発売。この金額だと買えそうな感じである。果たしてお買い得か?フォルクスワーゲンの新しいコンパクトカー「up!」。ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー2012を受賞した
まず価格を分析してみよう。『up!』に限りなく近いサイズのトヨタ・パッソは、搭載されるエンジンも1リッター3気筒で同じ。価格は『1.0X』が110万5000円だ。これに『up!』では標準装備になっている横滑り防止装置VSCとサイドエアバッグを装着すると、122万3650円。
まだ26万6350円高い。ただ、『up!』に装備されている機能のうち、パッソにはオプション設定すらない安全デバイスがある。『シティエマージョンシーブレーキ』と呼ばれるもので、スバルのアイサイトのような働きをするシステムだ。30km/h以下の速度なら追突しそうになると自動ブレーキを掛けてくれる。
クラスで世界初となる「シティエマージェンシーブレーキ(低速域追突回避・軽減ブレーキ)」を搭載
試してみたら効果バッチリ。街中での追突事故の大半は「ヨソ見」だという。『up!』ならヨソ見の事故の大半を未然に防止出来ることだろう。このシステムを6万6350円とすれば価格差20万円。もちろん少ない金額じゃないけれど、かといって高くもないという微妙な差というイメージ。
こう書くと、「up!の149万円は3ドアHBで、パッソと同じ5ドアHBを選ぶと168万円になるでしょ」みたいな声も出てくるだろう。確かに5ドアHBが必要な人なら、この時点で『up!』は厳しい。ただ、3ドアHBで何ら問題のない人だって少なくないと考えます。
確かに全くクルマに興味がなく、単なる道具として選ぶという人だと、20万円は決定的な違いになるだろう。でもクルマについての記事を読んでいるような人であれば、プライスレスの楽しさやワクワク感が得られる。試乗すれば誰にでもわかるけれど、日本車と全く違うのだ。