『オムライス ヘイ!』は危険な絵本です!?
世の中には色々アブナイ書籍が存在していますが、『オムライス ヘイ!』ほど危険な作品はないかもしれません。何がそんなにアブナイのかって? だって、読めば必ず高カロリー(!)なオムライスが食べたくなるのですよ。しかも、この本を読んでもらった子どもたちは、「僕もオムライス作る! 私もオムライス作りたーい!」と叫ぶのですから…… ほら、あなただって、表紙を見ただけで、お腹がググーとなってきたでしょう?オムライスのむこうに子どもの笑顔が見えてくる絵本
表紙を開くとすぐのカバーの袖で、笑顔の赤ちゃんが「リズムにのってよんでね」と言っています。せっかくですから、そのアドバイスに従ってノリノリで読んでいきましょう。
「オムライス、ヘイ! ざいりょうだ!」 つややかで新鮮な鶏肉、丸々と弾けんばかりのグリンピース、真っ赤なケチャップなどなど、写実的すぎないのに、思わずゴクリとなるような美味しそうな材料がテーブルに並んでいます。作者の武田美穂さんは、本当にお料理や食材の絵を美味しそうに描く名人ですね。この材料から、どんなオムライスが生まれるのか、期待が高まります。
「いためるぞ! ヘヘイ!」「おっとわすれたグリンピース」などとテンポよく調理が進めば、フライパンからジュージューという音が聞こえ、香ばしい香りまでもが立ちのぼってくるようです。ケチャップごはんの完成だけで「わぁ、オムライス美味しそう」と思えてきます。
さて、いよいよ卵が登場すると、調理はクライマックスを迎えます。ご飯を卵に包みお皿に移す作業では、一気に緊張感が高まります。だって、ここがオムライス作りの勝負どころ。「しゅうちゅうだ! 」「せいこうだ! ヘイ! てんさいだ!」と一気に料理を完成させていくあたり、料理の面白さや醍醐味がストレートに伝わってきます。
それにしてもこの作品、読んでいるとなんだかウキウキ楽しい気分になってくるから不思議です。ノリノリのラップのようなリズミカルな文章も一因ですが、もうひとつ理由があることに気が付きました。
この絵本では、オムライスのむこう側に子どもの笑顔が見えてくるのです。絵本には子どもは1人も登場しませんが、元気いっぱい遊んでお腹をすかせ、オムライスを待っている子どもたちの姿が浮かんできます。絵本を読みながら、そんなことを考えていたら、またまたオムライスが食べたくなってきました。では、材料を買いに出かけましょうか。「おつかいだ、ヘイ!」
【書籍DATA】
武田美穂
価格:1155円
発売日:2012/7/25
出版社:ほるぷ出版
推奨年齢:3歳くらいから
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