建築家住宅の実例

更新日:2001年06月19日

木の香りが全体を包む小林真人さんの意欲的な住宅建築 小林真人

中野の商店街から細い路地を抜け、住宅地を行くとその家はあります。シナ材をふんだんに使った小林真人さんの意欲作は、ほとんど素材そのままのシンプルな造りながらも、自由に使えるマルチルームや思いっきり外気を取り込める解放的なリビングが楽しい一軒でした。

文章:坂本 徹也(All About「建築家実例」旧ガイド)
どこに解放的な空間を持ってくるかがポイント


入った瞬間、木、木、木……木に一面を覆われた家という印象です。床も壁も引き戸も天井も、同じシナの木の素材感をそのまま生かした、一体感ある空間です。夫婦に子ども2人の4人家族の家を、ローコストに徹して設計したという建築家の小林真人さんは言います。
「単一な素材を、どこまで住空間に生かせるかという一つの挑戦でした。一番多く使っているのはシナ材なんですが、それが全体にやわらかな印象をつくり出してくれてけっこう気に入ってます。

  

また、ちょっと実験的だったんだけど、工業用の波状の透明アクリル板を階段部とリビングの境に、半透明のものをリビングと子ども部屋との仕切に使ってみて、これも意外によかった。シナ材の感触に意外にマッチしましたね」
シナというのは、桶や樽、下駄などの素材となる木です。だからなのか、この家を包み込むやわらかさには、どこか懐かしい風合いやにおいがします。

「とにかくいつも考えるのは、どこに解放空間を持ってくるかということ」と言う小林さんですが、今回の解放空間は何といっても2階のリビングでしょう。

本来なら3階部をつくるだろうと思われる高さまでを、思い切って全部リビングに使い、さらに南面に7メートル以上にもおよぶ大開口部を確保することで、あふれるばかりの外光と外気を室内に取り込んでいます。探し回って見つけたという3メートル60ある折り畳み式のサッシを全部開放して、板張りのテラスに座り込むと、そこから木の素材感につつまれた大空間が広がり、とっても気持ちがいい。初夏の風が南から北側の道路へと吹き抜けていきます。

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川畑 博哉

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