預金・貯金/普通預金の活用術

普通預金金利はなぜ下がらないのか?

普通預金金利は、利息が付く預金の中では1番適用金利が低い金融商品と言われています。このため、少しでも有利に運用したいのであれば、普通預金に預けっぱなしは厳禁。基本生活費等を残して、せっせと預け替えをしましょうとよく言われます。筆者もその1人ですが、ネット銀行等を使わないのであれば、こまめな預け替えは必ずしも有利とはいえない状況が続いているのです。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

お金の悩みに答えるマネープランクリニックガイド

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日本銀行の金融政策がその要因

7月中旬に預入期間3年以上の定期預金金利が引き下げられました。大手銀
実は普通預金が有利だった!?

実は普通預金が有利だった!?

行のスーパー定期を例に挙げると、預入期間1ヶ月~1年は0.025%、同2年~5年は0.03%、10年は0.10%と史上最低水準になっています。ところが、普通預金金利は0.02%と史上最低の0.001%に比べて高い水準を維持しているのです。定期預金金利は低下しているにもかかわらず、普通預金金利が低下しないのは、どうやら日本銀行の金融政策が影響しているようです。

日本銀行は2010年10月から「包括緩和」という事実上のゼロ金利政策を行っていますが、日本銀行の当座預金に民間金融機関が預け入れる際に付く金利は0.1%と高止まりしたまま。金利には長期金利、短期金利がありますが、預入期間が中・長期の定期預金は長期金利に、普通預金や預入期間が短い定期預金は短期金利に連動して適用金利が見直されます。

2012年に入ってからも、日本銀行は量的緩和という形で金融緩和を行っていますが、先の短期金利0.1%は引き下げていません。量的緩和等より、長期金利は低下=預け入れ期間が中・長期の定期預金金は低下。短期金利は変わらず=普通預金、預入期間の短い定期預金は現状維持という構図が続いているのです。

今後の日本銀行の金融政策決定会合では、短期金利(正確には「無担保コール翌日物金利」)が引き下げられるか否かを注視する必要があります。

普通預金、通常貯金で構わない

冒頭に述べたように、普通預金はお金を増やすための口座ではありません。しかし、定期預金と普通預金の金利差が縮っているため、下手に定期預金に預け入れるなら普通預金のほうがましという状況になっているのです。 普通預金は、私たち利用者から見れば、いつでもペナルティーなしで出し入れ自由という使い勝手のよさがウリですが、金融機関側から見るといつ出て行くかわからないお金に高金利を付けることはできないことになるわけです。

定期預金は中途解約にペナルティーを課す、言い換えれば私たちが流動性を放棄している代わりに好金利を得ていることになります。しかし、現在の適用金利状況下で中途解約した場合は、実際の預入期間にかかわらずそのほとんどで普通預金金利が付与されることになります。中途解約条件に照らし合わせて、中途解約金利を計算した結果、普通預金金利未満になってしまった場合は、普通預金金利が適用されることになっているからです。

満期まで預けたとしても普通預金金利との差は1年以内だと0.005%、100万円預けたとしても50円。2年~5年だと0.01%、同1年当たり100円しか違わないのです。ネット銀行等の高金利預金への預け替え以外は、普通預金あるいはゆうちょ銀行の通常貯金を利用したほうがメリットありという結果になるのです。

もちろん、普通預金や通常貯金に入れておく場合は、知らぬ間に使ってしまうことがないような意思の強さは必要になりますが。
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