手紙の書き方・文例/敬語の使い方

「出席させていただきます」は間違い?招待状の返信等の敬語の使い方

ビジネスの場面や結婚式招待状の返信で、使われることの多い「出席させていただきます」という敬語ですが、正しいのかどうか迷うというようなことも多いようです。便利な「させていただく」だからこそ、意味を知りきちんと使いこなしたいですね。

井上 明美

執筆者:井上 明美

手紙の書き方ガイド

「出席させていただきます」は正しい?

「出席させていただきます」は間違い?招待状の返信等の敬語の使い方

よく使われる「~させていただく」ですが、過剰使用にも注意しましょう!

「出席させていただきます」「ご説明させていただきます」「ご案内させていただきます」……など、「させていただく」を耳にすることは非常に多いですね。ビジネスの場面に限らず日常生活でも、相手と話をする際に使用頻度の高い言葉のひとつです。

同じようによく使う言葉に「いたします(いたす)」があります。「いたす」は「する」の謙譲語です。

一方、問題の「させていただく」は「させてもらう」の謙譲語です。ですから、「何かをする」という意味では同じであっても、なんにでも使えるかというと、そうとばかりはいえず、なかには「あれ?」と思うような好ましくない「させていただく」も案外多いものです。その点が問題になるのでしょう。

実際、よく耳にするけれど何だか変だと感じたり、また自分でも使っているけれど、本当のところ正しいのかどうか迷うというような声もよく聞きます。そんなよく使われる「させていただく」について考えてみましょう。
   

Q1:「僭越ながらごあいさつさせていただきます」

これは○です。会合や式典などの場で、司会者などから「あいさつをしてほしい」と言われたような場合に使う言葉ですね。このように相手から何らかの依頼や要請があり、それを受けて返事をしている例ですので、適切な正しい使い方です。
 

Q2:「こちらの商品は私が企画・開発させていただきました」

これは、企画関係者に対してならば○です。
 

Q3:「長年勤務させていただいております」

これは社内の人間、特に上司に対してならば○です。
 

Q4:「ご案内させていただきます」

こちらは○と言っていいでしょう。
 

Q5:「出席させていただきます」

こちらは○です。

さて、ではなぜ適切だったり不適切だったりするのかと言いますと、それぞれ次のような違いがあり、そこが○と×の分かれ道といえます。
 

「させていただく」という敬語は相手や場面によって使い分ける

きちんと意味を知り、相手や場面に合わせた適切な使い方をしましょう。

きちんと意味を知り、相手や場面に合わせた適切な使い方をしましょう。

「させていただく」というのは、「する(させてもらう)」の謙譲語です。基本的には、相手からの依頼や許可や好意、恩恵などを得て行うというような場合に用いられる言葉です。ですから、Q1はその意味、条件に当てはまっているため適切といえます。

しかし、Q2とQ3はなぜ企画関係者や社内の人間、特に上司に対してならば適切なのかと言いますと、言っている側の気持ちとしては、感謝や恐縮の気持ちからと思われますが、社外の関係のない相手や同じくその事柄に何ら関係のないお客様相手などに対して乱発するのは、「何だか変?」と感じる人も多い言葉です。

「長年勤務させていただいております」などは、社内の人間や上司、または就職を世話してくれた相手に使うのならば、相手からの好意や恩恵や許可を得てさせてもらっているという感謝や恐縮な気持ちを表すこともできます。しかし、関係のない相手に濫用するのは注意が必要ということです。

たとえば、「私どもは長年にわたり、○○に力を入れさせていただいており、このたび新商品を発売させていただき、新価格をアピールさせていただいております」などは、言われたほうは「誰も頼んでいないのに」などと不快に思いかねない、不適切な言葉に変わってしまうこともあります。

Q4とQ5は、訪ねてきた相手を案内するような場面で使うことが多いでしょう。直接口に出して、案内してほしいと頼まれなくても「ご案内させていただきます」と言うこともありますね。これは相手がそうしてほしいのだろうと配慮したり、相手・お客様=関係者や敬意を表するべき相手と考えて、相手の許可や依頼を得て案内する→いたす→させていただくという意味で使われる表現でしょう。

「出席させていただきます」も、結婚式やパーティーなどの案内状の出欠の返事などに見られますが、こちらも出席してほしいという相手からの依頼や恩恵を得て出席させていただくという気持ちで使われていると考えられます。

このように登場回数の多い便利な「させていただく」ですが、その良さを生かすためにも、きちんと意味を知り、相手や場面に合わせた適切な使い方をしたいものですね。

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