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ソーシャルゲームは健全化に向かっているの?(2ページ目)

消費者庁が違法であると判断を下し、各社一斉に撤退を始めたソーシャルゲームのコンプガチャ。これでソーシャルゲーム業界は問題点が解決され、健全化していくのでしょうか? コンプガチャの違法性、ソーシャルゲームの問題点、そしてこれからの健全化について考えてみたいと思います。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

揃いそうで揃わない コンプガチャの違法性

アイドルマスターシンデレラガールズの図

ソーシャルゲームで人気の「アイドルマスターシンデレラガールズ」も、コンプガチャの企画を絶え間なく開催していました

ガチャというのは、ソーシャルゲームにおけるくじ引きの総称です。300円程度で1回ひけるのが一般的で、くじをひくとランダムでゲーム内で使用できるアイテムが貰えます。コンプガチャと呼ばれるものは、くじを引いて手に入れられるたくさんのアイテムの中から、特定のアイテムを6種類とか、8種類など、複数揃えるとさらに特別なアイテムがもらえるという仕組みです。コンプリートさせるガチャだから、コンプガチャですね。

この、くじ引きでランダムに景品が手に入って、さらにそれを複数種類集めるという方法は、景品の額にかかわらず禁止ということになっています。今回ソーシャルゲームの規制のために何か新しい規制法が作られたわけではなく、元々禁止だったんですね。

というのも、例えば6種類なら6種類、ガチャで絵柄を集めていくと、最初の1種類、2種類が当たる確率と、最後の1つが当たる確率が全然違うんです。最初の1つは6種類のうちどれが手に入っても当たりですが、最後の1つは6種類のうちたった1つしか当たりがありません。ガチャをやればやるほど、既に持っているアイテムを重ねて手に入れてしまう確率が高くなって、多くの人が、あとたった1枚で揃うはずなのに運悪くその1枚が出てこない、という状況に陥ります。実は運が悪いわけでも何でもなく、その最後の1枚が出る確率は極めて低いのです。ここに消費者の混乱があって、こういう困惑によって商品の購入を誘引するような景品の手法はいけない、ということで違法になっているわけです。

元々は昔のプロ野球チップスなどで、カードを集めて景品を貰うという懸賞が問題になり、懸賞の方法そのものが適切でないということで1977年には全面禁止となっています。

消費者を混乱させて課金を誘引する商品が、大量のCMでプロモーションしていた

ドリランドの図

GREEの看板タイトルドリランド。本当にいつもCMを見かけますよね

ソーシャルゲームのこれまでの状況を整理すると、違法とされるような商品購入を誘引する懸賞手法を使い、しかもその商品の大量CM投下による大規模プロモーションにより、広くユーザーの集客をしており、大変な影響力を持っていたということになります。

子供の課金について、家庭内の管理の問題も大きいというようなことを前述しましたが、誰でも観るような場所、時間に大量のプロモーションを投下して行う商売であれば、やはり安心して遊べるようなものである必要があり、その点においてソーシャルゲームにも相応の社会的責任が求められることは言うまでもありません。

また、子供が大金を使っていたという話のインパクトが大きいのでそちらに気を取られがちですが、大人を相手にした場合でも、やはり正しい判断力を失わせるような手法を使っていては、健全とは言えません。

これだけ多くの人に遊ばれる娯楽として認知されるようになっていったソーシャルゲームがこれからさらに発展を目指すのであれば、その分の社会的責任を果たしていく必要があります。
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