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ペットに特化したオンライン寄付サイトが登場

里親が必要な犬たち、殺処分問題、被災犬…。愛犬のことを大切に思うのとは別に、こうした問題を少しでもなんとかしたいと考えたことはありませんか? 自分に何ができるのか? と考えた時に、寄付をするというのも一つの行動だと思います。昨年、ペットに特化したオンライン寄付サイトが設立されたことをご存知でしょうか?

大塚 良重

執筆者:大塚 良重

犬ガイド

「知ってしまった以上は何かしなければ」

アニドネ代表理事西平さん

「動物福祉のボトムアップをしたいんです」と『アニマル・ドネーション』代表理事の西平衣里さん。

20万4,693頭。これが何の数字かおわかりでしょうか? 2010年度における犬猫を合わせた殺処分の数です。このうち犬は5万1,964頭、猫は15万2,729匹(環境省動物愛護室調べ)。これを一日に換算すると毎日犬が142頭、猫が418匹、その命を全うできずにこの世から消えている計算になります。犬に関して言えば2009年度が6万4,061頭、2008年度が8万2,464頭、2007年度が9万8,556頭、2006年度が11万2,690頭。年々減る傾向にはあるものの、未だこれだけの数の犬たちが命を奪われているのです。その最期は、ドリームボックスと呼ばれる炭酸ガスを用いた処分装置の中で迎えることになります。高齢犬や幼歳犬では死にきれずにそのまま焼却処分されてしまうというケースも…。

「そういう事実を知ってしまったんですよ。知ってしまったからには何かをしなければ…と思ったんです」

そう語るのはペットに特化したオンライン寄付サイト『アニマル・ドネーション』(通称:アニドネ)代表理事の西平衣里さん。現在、西平さんは初めての犬となる愛犬のトイ・プードルと暮していらっしゃいますが、それまでとはうって変わり、犬中心とも言える生活となった中で、あるセミナーに参加したのをきっかけに都内の保健所を見学したそうです。

「ショックでした。捨てられたり飼育放棄されるペットたちは人に咬みついてしょうがないとか、それぞれに仕方のない理由があるのだろうとその時までは思っていたんです。ところが、目の前にいるコたちは昨日まで家族と普通に一緒に過ごしていたのだろうというような綺麗な犬や猫ばかり。理由とは言えない理由で放棄されるコ達をどうにかしなければという思いと、私自身の年齢的なことからもそろそろ社会貢献をしたいと考えたんです」

それからの西平さんは精力的に動きました。(株)リクルートで結婚情報誌「ゼクシィ」を創刊するなどビジネスウーマンとして培った経験とフットワークの軽さを生かし、元同僚であり、現在はアニドネの理事でもある櫻井あや子さんの協力を得て、二人で日本のペット事情はどうなっているのか? とリサーチに取り組み出したのです。その数、行政から始まり様々なジャンルのキーパーソンとなる人たちまで約70人。

「最初はただこの日本の現状を少しでも多くの人たちに知って頂きたいという情報発信スタイルのものを考えていたんですが、リサーチしていく中で疑問を感じるようになったんです。と言いますのは、保護団体など現場の方たちは本当に頑張っていらっしゃる。でも、私たちが情報発信したとしても、それが現場にとっては有益なことなのだろうか? と考えるようになりました。どの団体であっても実活動に必要なのはお金です。それに、一般の方が私たちの発する情報を目にしてくださったとして、自分も何かをしたいときっと思ってくれるはず。でも実際に犬や猫をレスキューするのは難しい、ならばせめて寄付だけでも。そう思ってくれる方は結構多いのではないでしょうか。私自身もそうでしたし。ならば、オンラインで寄付ができる仕組みを構築しようと思い立ったんです」

2010年7月に一般社団法人としてアニドネが立ち上がり、銀行システムなど大規模な開発に関わったシステムエンジニアやウェブのプロなど新たな仲間も加わりました。実質的なサイト制作に乗り出し、順調にいくかと思っていた矢先に東日本大震災が起こり、しばしの中断を余儀なくされましたが、設立から一年の準備期間を経て、昨年の7月にサイトがオープン。

次のページで、アニドネの寄付の仕組みについてお話しします。

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