予防接種・ワクチン/その他の病気の予防接種

狂犬病ワクチンの接種・時期・副作用

狂犬病は、狂犬病ウイルスに感染している動物に咬まれて、発症すると、致死率ほぼ100%という病気です。日本の犬、猫に咬まれて発症した狂犬病は幸い、1957年以降見られず、海外で犬に咬まれて発症する例が散見されます。発症しないために、ワクチンがあります。狂犬病ワクチンについて説明します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

狂犬病とは

狂犬病ウイルスによって発症する病気で主に神経症状が出ます。狂犬病ウイルスに感染した犬や猫などの動物に咬まれると、唾液に含まれるウイルスが体に侵入し、約1~2ヵ月後(長いと数年)、発病します。

最初、咳や鼻、発熱などの感冒のような症状から、咬まれた部分の知覚異常、強い不安感、音や振動などに過敏に反応する神経過敏、何と言っているか判らなくなる見当識障害、幻覚、水を極端に恐れる恐水症状、風が吹くと過敏になる恐風症状が出て、全身まひ、こん睡となり、呼吸できなくなって死に至る病気です。発病から死亡まで2~6日と言われています。

予防は、危険な動物に近寄らない(咬まれない)ことです。

危険動物としては、イヌ、ネコはもちろん、アフリカではジャッカル、ヨーロッパではキツネ、北米ではコウモリ、アライグマ、スカンク、リス、キツネ、中南米ではコウモリ、コヨーテなどがあります。毛の生えた野生の動物が危険と思ってください。

日本では、犬に狂犬病ワクチンをして、予防できていますが、野生動物が増えると、その危険は増してきます。

狂犬病ワクチン

狂犬病ワクチン

狂犬病ワクチンです(化血研提供)

動物用のワクチンと異なります。狂犬病ウイルスをニワトリの細胞を使って増やし、不活化したワクチンです。主に、狂犬病が発症している国への渡航前に行う場合と狂犬病ウイルスを保有する動物に咬まれた後の発症予防に使われています。

接種方法は、予防と発症予防で異なります。

■狂犬病そのものへの予防接種スケジュール
1mlを4週間間隔で2回皮下に接種し、さらに6~12ヵ月後に3回目を皮下注射します。渡航までに時間のないときには、最初の2回が大切です。

このワクチンでの予防効果は1年程度ですので、長期に予防するためには、1~2年に1回の追加接種が望まれます。

世界保健機構(WHO)では、日本と違って、0日、7日、28日の3回を勧めています。

■発症予防の接種スケジュール
1mlを0日、3日、7日、14日、30日、90日の6回皮下に接種します。

狂犬病ワクチンの副作用とイヌへのワクチン

一時的に、発熱、注射部位の赤み、腫れ、痛みがありますが、比較的副作用は少ないです。

狂犬病は、日本では、イヌにワクチンをすることで予防できていますので、ヒトにワクチンをすることは、現時点では想定されていません。海外渡航時に、ワクチン接種を受けることになります。

イヌへの狂犬病予防法によると、91日齢以上の犬の所有者は、その犬を所有してから30日以内に市町村へのイヌの登録と毎年の狂犬病ワクチンの接種が義務となっています。イヌのためにもヒトのためにもイヌの登録と狂犬病のワクチンは必ずしましょう。

狂犬病は一旦発症すると治療方法はなく、死に至る恐ろしい病気です。予防が大切な病気と言えます。

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