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それでも「インデックス運用」を支持する私の理由

最近アクティブな運用方法が流行です。インデックス投資を好み銘柄選びをしない者、ガツガツお金を増やす努力をしない者は愚か者だと批判されます。しかし、それでもインデックス運用でOKだと私は思います。なぜなら……。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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アクティブな運用方法が流行っているらしい

最近、アクティブな運用方法が流行しています。一部の優れた企業だけに投資をすれば、市場の平均、つまりインデックスで運用するよりよい運用成績を上げられる、というタイプの主張です。書籍でもアクティブ運用を行う投資家が著したベストセラーが注目を集めていますし、AllAbout内でも午堂さんのニューリッチへの道において「「インデックス投資だけでは勝てない」と私は断言する」というそのものずばりのタイトルのコラムが掲載されています。

私はインデックス至上主義者ではありませんが、相対的にはインデックス運用を支持します。しかし、インデックス運用が最高のパフォーマンスを上げるとも考えていません。せっかく午堂さんが主張され、反論求むとおっしゃっているので、「最高ではなくてもインデックス運用でいい理由」を考えてみます。インデックス派が誰も反論しないのもおもしろくないですしね。もちろん、マネーハック的に反論してみます。

インデックス運用という投資の仕方 

まず、インデックス運用の方法についておさらいしておきます。インデックス運用は、その市場の平均的騰落動向を示す指標そのものを投資対象とするやりかたです(インデックスとはその指標のこと)。たとえば日本の株式で運用する場合に個別企業の株を買うのではなく、TOPIXのように東証一部上場企業全体の価格の平均を示す指標が、その金融商品の価格にも反映されるものを購入します。具体的には、インデックス運用を行う投資信託(ないしETF)です。

例えば、TOPIXに連動するインデックス運用をする投資信託を買うと、1000円ないし10000円で買ったお金で、東証一部上場企業約1600社を同時に買ったことになります。トヨタもソニーもイオンのような有名企業も買えば、これから伸びていくであろう無名企業も買いますし、知名度はないが各業界では有力な企業もまとめて買うわけです。値動きは、TOPIXが10%上がればインデックス投信も10%上がり、5%下がれば同じく5%下がる、という格好になります。

インデックスのいいところは、(1)投資金額を安くできること、(2)投資内容の分かりやすいこと、(3)複数の銘柄を同時に保有できること、(4)投資コストの安いことです。特に投資単位が1000円程度から可能であることと、投資にかかる手数料の安いことは、投資が専業ではない人にとって、とても助かることです。

対して、アクティブ運用(あるいはアクティブに運用するべきと考える人)は、個別の企業を絞り込んだり、安値で買って高く売ることに注力することでインデックスより高い運用成績が得られると主張します(もちろん保証の限りではない)。あるいはアクティブに運用する投資信託などを設定・販売しています。これらは手間もかかるためインデックス運用より手数料やコストが高くなるのが通例です。

さて、基本的な仕組みはこれくらいにして、「なぜ、インデックスでもいいのか」考えてみたいと思います。

インデックス運用は最高のパフォーマンスなど求めていない

インデックス運用を相対に支持する者としていつも疑問に思うのですが、アクティブな運用方法を主張する人は、なぜかことさらにインデックス運用をする人を批判します。いわく「インデックスでは平均的なリターンしか取れない」「インデックスでは下がっているときに何もできない」「インデックスで大もうけしたという自慢を見たことがない」などです。

そもそも、インデックス運用を行う者は、インデックス運用で市場の平均以上が取れるとは思っていません。だってインデックスなのですから市場の平均を取るくらいのことしか考えていません。インデックス運用ですから、基本的に「日本の株式市場」とか「海外先進国の株式市場」「海外新興国の株式市場」そのものの上昇で儲けることは考えても、「自分だけ他人より多く儲けよう」とは考えていません。もし多く儲けようとする場合は、多く儲けられる市場はどこか考え、その市場のインデックスを買う投資行動を取ります

また、インデックス運用を行う者は、投資は自分の中の主たる事業ではないと考えている人が多いと思います。仕事をしっかりやること、プライベートで家族との時間を大事にすることなどを削るのではなく、それらと同時に投資も行おうとしています。

このとき、投資にかけられるリソースは限られていますから、負担が過重なものとならない投資方法を選択しなければなりません。毎日市場をチェックするとか、PCやスマホを何度もクリックしたり、自動売買の仕掛けを組むような負担が取れないからです。またあっという間に大きく損失を被る投資方法は選択しません。しかしそれでもリスクを取った資産形成を組み入れていこうと考えればこそ、インデックス運用を行うわけです。(自分の能力の限界をわきまえ、個別銘柄選びや市場の流れに乗った売り買いで儲けることはできない、と判断していることもあります。この場合は自信過剰の罠にはまらないためにインデックスを選択していることになります)

これは、アクティブ派の考えと真っ向から対立します。彼らは「儲けるためなら時間をかける」のは当然ですし「自分に他人より投資能力があること」も当然です。そもそも「目的は平均より高い利回りを上げること」なのですから、インデックス投資を選ばず独自のアクティブな投資方法を選んでいるわけです。(人によっては投資が専業となっていることもありますが、これは会社員が行う「兼業」の投資と同列に論じるべきではないことも指摘しておきます)

つまり、アクティブ派のインデックス運用への批判はほとんど意味をなしていないと思います。運用という同じ土俵に立っているようですが、両者は違う運用をしているからです。そもそも喧嘩を買うつもりはインデックス派にはありません。インデックス運用を行っている者の主眼は大きく負けることの回避と、自分の投資行動が必ずしも合理的に行えるわけではないが自信過剰の罠に陥りたくない、という現実を踏まえての判断です。

考えるほど、実は議論がかみあっていないことが分かります。

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