100年店ランチ/東京の100年店ランチ

総本家 更科堀井(そば/麻布十番/創業1789年)

江戸時代から続く「更科」そばの系譜。人を辿るとこちらの一店に。今回は、麻布十番のそば店「総本家 更科堀井」をご案内します。

菅野 夕霧

執筆者:菅野 夕霧

100年店ランチガイド

麻布十番、六本木からほど近い「総本家 更科堀井」

年中美しい緑で出迎えてくれる同店店頭

年中美しい緑で出迎えてくれる同店店頭

現在、都営大江戸線と南北線が交差する麻布十番駅。どちらの線も2000年開通と、しばらくの間“陸の孤島”状態が続いていたエリアです。クルマの利用が必要となる立地から、著名人の隠れ家的なお店も数多く存在。そんな麻布十番駅4番出口から、麻布十番商店街のメインストリートを六本木方面へ3、4分ほどでしょうか。左手に老舗そば店の「総本家 更科堀井」が現れます。六本木駅からも歩ける場所ですね。店舗はマンションの1階部分ですが、ふんだんな緑や提灯、暖簾にも老舗風情を感じます。

場所柄、有名人も多く来店する同店。ランチタイムは業界人風の方、近所の方、食べ歩きの方など、さまざまな人たちで混みあっています。高齢の方がゆっくりと食事を楽しむ光景は、老舗有名店でよく見られる傾向ですが、こちらも同様です。

創業は1789年(寛政元年)

同店の創業は江戸時代の寛政元年(1789年)。100年店ならぬ200年超えの一店です。信州更級出身の反物商であった布屋太兵衛が、領主である保科兵部少輔の勧めでそば店へと職を変え、麻布に「信州更科蕎麦処」を開いたのが同店のスタートです。ちなみに、“更科”の由来は、更級出身の“更”と領主の保科の“科”を組み合わせたもの。しかし、1789年……。時代背景はどんなものだったのでしょうか。

最寄りは麻布十番駅の4番出口

最寄りは麻布十番駅の4番出口

寛政の前の年号、天明年間は大飢饉が有名です。その結果「打ちこわし」が起こり、江戸が5日間にわたり無政府状態に。また、京都での大火で二条城が焼けるなどの史実も。そんな天明から寛政へと変わったこの年、財政難の旗本・御家人を救うための「棄捐令」が発布されています。歴史の授業で習った、老中・松平定信による寛政の改革の一つです。

世界に目を向けると、アメリカでは、ジョージ・ワシントンが初代大統領に。ヨーロッパでは、フランス革命が起こります。歴史的にも1789年は重要な年ですね。

伊能忠敬44歳、松平定信31歳、葛飾北斎29歳、時の将軍である徳川家斉16歳のこの年、更科堀井もその歩みを始めています。

では、200年超えのそば店へと参りましょう。
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