恵比寿の人気カフェが渋谷に誕生
古い家具や建具を配した、アナログ恵比寿に通じる空間づくり。
独特の空気感を持つ恵比寿のリラックスラウンジとして人気の高い
アナログを手がけた
attic planningが、2011年12月、渋谷にもうひとつのアナログを誕生させました。場所は公園通りのゆるやかな上り坂の途中に建つ「
たばこと塩の博物館」の裏手、アパレルショップの密集する神南エリア。
築40年になるビルの2階。カフェは廊下を進んだ一番奥に隠れています。
attic planningが展開するカフェを訪れるとき、ひそかに期待してしまうのはエントランスの怪しげな気配。いずれも繁華街の路地裏にある古びた雑居ビルにオープンしていますから、それだけで猥雑な気配が漂い、カフェの扉を開けて中に入ったときの居心地の良さとの落差が楽しめるのです。とりわけアナログ恵比寿のビルときたら!
アナログ渋谷もまた、ちょっと心をそそるエントランスを持っていました。ビルの2階でエレベーターを降り、床にペイントされた足形をたどりながら右手に進むと、薄暗い廊下をグリーンのライトが照らしています。一瞬、ヴィンセント・ギャロのもはや懐かしい映画『バッファロー'66』のホテルなど連想して歩みながら、扉を開けました。
無国籍なテイストに、和の要素を色濃くあしらって
アナログ誕生前、この空間はレディースの洋服屋さんでした。
さまざまな色調のソファが居心地よく並ぶフロア。アナログ恵比寿と同様に国籍を問わず多種多様なテイストが集められているにもかかわらず、和の印象が強いのは、窓側のエリアとオープンキッチン側のエリアのパーティションに、昭和の木造家屋の建具が使われているから。かつてはありふれていたのに、いまでは凝った造りに感じられる障子や欄間。
伝統的な民家の知恵のひとつに、障子やふすまをはずせば部屋の広さを臨機応変に拡大できることが挙げられますが、このカフェでも貸切パーティーのときには建具を取りはらい、ひとつの広い空間として利用することができます。
古い建具に、大粒のビーズの透明な光。
のびのびとくつろげる空間で、しっかりした食事。それがアナログの大きな魅力です。
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