悩みぬいた末、広島を断りヤンキース入り
昨季、大活躍の黒田はニューヨークでもヒーローになれるか?
ドジャースからFA(フリーエージェント)となっていた黒田博樹投手(36)が1月13日(日本時間14日)、ヤンキースと1年契約で合意したことがわかった。年俸は1100万ドル(約8億5000万円)とも1600万ドル(約12億円)ともいわれ、高額であることに間違いないが、それ以上にエース左腕C・C・サバシア投手(31)に次ぐ先発2番手という評価の高さに驚かされる。
1200万ドル(約9億2300万円)という高年俸が理由で、経営が悪化したド軍の戦力構想から外れた黒田。一時、気持ちは古巣の広島復帰へと傾いた。レッドソックス、ダイヤモンドバックス、ロッキーズから好条件を提示されてもその気持ちは変わらなかったが、ヤ軍が獲得に動くと心が揺れた。より高いレベルで自分の力を試したい。悩み抜いた末、1月9日に広島に断りの連絡を入れた。
大リーグでのプレーを「憧れていたわけではない。選手としてレベルアップするため」と常々言っていた。ヤ軍でのプレーはその究極に値する。ワールドシリーズ制覇27度のヤ軍はファンもメディアの目も厳しい。結果が出なければ容赦ない罵声を浴びる。だが、仕事をすれば、これ以上ない称賛と報酬を手にできるのも事実。黒田はあえてしのぎを削る道を選んだのである。黒田は4年目の昨季、32試合に登板し、いずれも自己ベストの202投球回、13勝(16敗)、防御率3.07と活躍した。その投球内容を他球団が高く評価したことを受け、「あと1年米国で」、「ワールドシリーズで投げたい」と思うようになったのは、ごく自然の成り行きだっただろう。
黒田のヤ軍入りというニュースは、米メディアも大きく取り上げた。米スポーツ専門局ESPN(電子版)は、エースのサバシアに次ぐ存在として、イバン・ノバ投手(25)、マリナーズからトレードで獲得したマイケル・ピネダ投手(22)らとともに、先発陣の再建を担うと予測している。野球に取り組む真摯な姿勢や、ド軍時代のプレーオフでの豊富な経験は、ノバやピネダら若手にとって“生きた教科書”になるに違いない。
伝統の強力打線をバックに、メジャー5年目にして自己ベストの成績を残すことも十分可能な黒田は、チームにとっては3年ぶり、自身初のワールドチャンピオンになるため、家族をロサンゼルスに残し、単身でニューヨークへ乗り込む。