東日本大震災の影響で、供給戸数は当初見込みより減少
3月11日に起こった東日本大震災で、マンション市場や購入者のマインドが大きく変化した2011年。原発事故や電力不足による節電などの影響も大きく受けました。しかし、一旦縮小したマーケットも夏以降、即日完売物件も出てくるなど明るい兆しもあります。
2012年を迎えるにあたり、東京カンテイの上席主任研究員である中山登志朗氏に、お話しを伺いました。
2011年は、購入者の意識が大きく変ったと、中山氏
■プロフィール:中山登志朗
株式会社東京カンテイ 市場調査部 上席主任研究員。現在、不動産市況全般の調査・分析を担当している。市況レポート「Kantei eye」編集長。金融機関やディベロッパーなど幅広い人脈を持つ。今春に、ダイヤモンド・ザイ編集部と共著で、発刊された「戦略的マンション購入マニュアル」が好評。
―――中山さん。本日は、よろしくお願いします。今年は、3月11日の東日本大震災が起き、マンションマーケットも大変な1年でしたが、振り返っていかがですか?
中山氏:
もともと、2011年はリーマンショック後の新築マンション供給回復が明確になる見込みでした。首都圏でも5万3,000戸程度は供給されると予想していましたが、東日本大震災の影響で、4万5,000戸程度の供給になりそうです。
震災直後の電力不足の影響や工期の未確定などで、随分販売が先送りになりました。
一方、中古マンションは流通件数が増えてきています。近年の良質なストックに対するニーズは強く、新築マンションと並行で検討する方も増えています。立地優先で住む方には、一つの選択肢になっています。
新築マンション市場で見ると、50平米台~60平米台のコンパクトプランの供給が増えた年でもありました。比較的資金力のあるDINKS層に向けて、企画された面もあると思います。東京都で見ると、70平米台の供給が昨年の31%から29%に減っているのに対し、60平米台の供給は、16%から20%に増えています。
東日本大震災で、安心・安全や災害対応力に注目が集まった
―――東日本大震災は、人々の住まいの選び方にも随分影響を与えたのではないかと思います。中山さんは、どうお考えですか?
中山氏:
東日本大震災は、住宅に対する意識の変化をもたらしましたが、急激にというよりも徐々に変ってきていると考えます。震災直後は、原発事故の問題や電力問題などで、様子見の方が増えたと思います。変化が出てくるのはこれからではないでしょうか。
まず言えるのは、安全・安心に関する意識が非常に高まったことです。そもそも、安心・安全は、備わっているというのが買い手の意識でしたが、今回の震災によって、安全は必ずしも絶対ではないということが認知されました。
震災の起こった後は、安心・安全にかなり意識がいっていましたが、今後はもともとの選択基準であった、利便性や居住快適性などに再度目が向けられていくと思います。
非常備蓄倉庫や非常用電源などの災害対応力とともに、安全・安心の部分は、住宅を買うための大前提の要素になるでしょう。
※次のページでは、中山氏の2012年の予測を紹介します。