100年店ランチ/東京の100年店ランチ

すず金(うなぎ/早稲田/創業1877年)

夏目漱石も食した蒲焼の味とは……。今回は土日も営業する早稲田の小さなうなぎ店、「すず金」をご案内します。

菅野 夕霧

執筆者:菅野 夕霧

100年店ランチガイド

早稲田、馬場下のたたずむうなぎの「すず金」

早稲田通りに面した同店

早稲田通りに面した同店

地下鉄・早稲田駅から近い早稲田通りと夏目坂が交差するエリア。新宿馬場下郵便局の並びに、うなぎ店「すず金」があります。店の間口が小さいことに加え、こちらの一帯は歩道が狭く、思わず素通りしそうになってしまう立地ですね。しかし、2006年の店舗改装できれいなビルの1階に収まりながら、老舗店特有のタダならぬ!?雰囲気を醸し出しています。

場所柄、早稲田の学生がたくさん見受けられるエリアですが、同店にはあまり学生らしき人たちはいません。私の周囲の早大卒の人に聞いても、「当時は知らなかったし、安い学生向けの店がいっぱいあるからね」とのこと。確かに。20歳前後の頃は、“美食”よりもまずは“物量”でお腹を満たす……体育会系ならなおさらですね。

創業は1877年(明治10年)

すず金は、当初はうなぎ割烹だったようですが、現在はうな重と蒲焼の専門店。同店を語る際に必ず出てくるのが、夏目漱石に関するエピソードです。箸袋の裏には「我輩もかつて食した ここの蒲焼」の文字が……。夏目坂という地名から想像がつきますが、近くに住んでいた夏目宅(漱石生家)への仕出しも行っています。

夏場は11時30分の開店前から行列ができる同店

開店前から行列ができることもある同店。売り切れで閉店なので、遅めのランチには注意が必要。

同店の創業は、1877年(明治10年)。大隈重信による早稲田大学の創立は1882年ですから、大学より5年先に営業を開始しているんですね。そんなすず金の創業年、1877年はどんな年だったのか……。大きな出来事としては、西南戦争が起こっています。明治維新に貢献した、かの西郷隆盛が没した年ということになります。

同年、現在の東京大学や学習院大学など複数の大学が開校。日本における“大学教育”時代の幕開けでしょうか。札幌農学校で、クラーク博士による有名なフレーズ「少年よ、大志を抱け」が発せられたのもこの年のことです。アメリカの科学者・モースが大森貝塚を発見し、日本の近代的な考古学研究がスタートした年、また、近隣在住の漱石が10歳の年に、すず金はその歩みを始めています。

では、夏目漱石ゆかりのうなぎ店へと参りましょう

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