暫定規制値はどのように作られたのか?
日本の食品衛生法には放射性物質には明確な規制がなかったため、東日本大震災による福島第一原始力発電所事故後、厚生労働省が暫定規制値を自治体に通達し、これを上回る食品は飲食しないように通知され、管理を行っています。
厚生労働省は、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告を受けて原子力安全委員会が策定した原子力防災指針の「飲食物の摂取制限に関する指標」を参考に、暫定規制値を作りました。しかし、乳児が摂取する乳類に対する放射性ヨウ素の規制値については、原子力安全委員会の指標には記載がないため、今回新たに採用されています。
この規制値では、「1年間その放射能濃度の水や食物を摂取し続けたときに全身が被ばくする線量(正確には実効線量)が5mSv以下、ヨウ素の場合は甲状腺が被ばくする線量(正確には等価線量)が50mSv以下」と決められています。また、単一の食物ではなく、さまざまな食物を食べたときの合計値としてこの 規制値以下になるように決められています。
具体的には、摂取制限すべき放射性物質として、放射性ヨウ素、放射性セシウム(137および134)、ウランおよびプルトニウムの4種をえらび、対象とする食品について具体的な規制値は、下記の表のようなっています。
大人と子どもは同じ規制値でよいの?
現在の暫定規制値は、放射性セシウムの被ばく上限(許容線量)を5mSv/年とした上で、日本人の平均摂取量などを参考に、5つの食品カテゴリーごとに1mSv/年ずつに割当し、算定されています。5mSv/年という年間線量限度は、ICRPが、緊急時の介入における全身への下限線量当量レベルです。
この暫定規制値について報道がされた時に、成人の数値と、幼児や乳児は同じでよいのか、子どもには別の規制値が必要なのではないかという意見が出ていたと思います。
この設定に当たっては乳児・幼児・成人、それぞれごとに食品の摂取量や感受性などは年齢区分ごとに違うため、それらを配慮して乳児、幼児、成人の場合で試算し、その中で最も厳しい数字を指標とされています。つまり、子どもたちにも配慮した結果、「牛乳・乳製品」のカテゴリーを除いては、成人の方が限度値は低かったのです。(表2参照)