シンプルライフ/シンプルライフの達人

秋岡芳夫に学ぶシンプルライフ

生涯かけて「モノ」と向き合った工業デザイナー、秋岡芳夫。没後14年を経て、そのメッセージが、311以降を生きる日本人に伝えるものとは――。

金子 由紀子

執筆者:金子 由紀子

シンプルライフガイド

秋岡芳夫を知っていますか? 

エントランス

秋岡さんが長く目黒区在住だった縁により開催。自宅の段ボールに眠っていた貴重な資料が初公開されている

工業デザイナー・秋岡芳夫(1920~1997)。かつて「KAK」というデザインユニットを通じて幾多のすぐれた工業デザインを世に出し、かと思えば童画を描き玩具を作り、子供たちが狂喜した雑誌「科学」の付録を設計し、はたまた東北や北海道の過疎地で、地元の木を使った木工で町おこしに成功を収め、失われゆく職人とその文化とともに、日本から消えつつあった膨大な数の工具を蒐集し……。

「何をやった人なの?」

そのあまりの裾野の広さに、見えずにいた彼の全貌が、このほど東京・目黒区美術館で公開されています。『秋岡芳夫展 モノへの思想と関係のデザイン』。


シンプルライフの師匠!

顔

1階に展示された秋岡さんのポートレート

若い頃、秋岡さんの考え方に強く影響を受けたガイド、さっそく行ってきました! 同展にもよく表れている秋岡さんの考え方は、ガイドの現在の暮らしの中にも数多く生かされていますし、長年、その合理性と使い勝手のよさを感じてきました。少ないモノで満足度の高い生活を送るために、秋岡さんの思想は驚くほど実践的で役に立つ、そして何より腑に落ちるのです!




秋岡さんが教えてくれたこと

バイク

参画したKAKは、1950年代の工業製品のデザインに大きく寄与した

多彩な貌を持った秋岡さんが終生名乗ったのは「工業デザイナー」。デザイナーとして秋岡さんが一貫して主張していたのが、「モノそのものではなく、モノと使う人との関係をデザインすること」。高度経済成長のさなかにあって、すでに顕在化していた人間不在のものづくりの不毛さを訴えていました。

モノづくりの最先端にあって、モノが大好きな人だったからこそ、秋岡さんは、ていねいに作られたモノを大切に、かつ多様に使い、持ちすぎないことを教えてくれた、シンプルライフの先達でもあったのです。
 

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