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都市型住宅について(1) 基本編

利便性の良い場所でオシャレに暮らしたい――。そんなニーズから注目されるのが「都市型住宅」です。ただし、様々な法規制やしがらみがあり建築には難しさが伴います。そこで都市型住宅のシリーズをスタートしポイントを探ります。一回目はその基本編です。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

「都市型住宅」についてのシリーズをスタートします。都市型住宅と一言でいってもその内容は様々。単世帯向けはもちろん、二世帯住宅や賃貸併用、店舗併用などがあります。また土地の問題も重要になります。一つだけ明らかに言えることは、通常の住宅(いわゆる郊外型住宅)に比べて、ハイレベルな住まいづくりの知識や技術が求められるということ。今回は基本的な部分に焦点を絞ってご紹介します。

採光・通風

近隣とのプライバシーを確保しながら採光や通風に優れた住まいを実現するのは、都市部の住宅建築においては非常に難しい

まず建物の話。狭い土地に建物を建て、空間を広く確保しようとするには特殊な構造を採用しなければなりません。2階建てならまだしも、上方向に空間を確保する3階建て以上の住宅とする場合はなおさらです。具体的には耐震強化など構造面への配慮が必要。もちろん、それでも限られたスペースですから間取りなどの空間設計にも特別な工夫が必要になります。

また、近隣配慮やプライバシーの確保にも注意する必要があります。都市型住宅は住宅密集地に建てられるものですから当然のこと。こう考えると、一般的な住宅に比べてハイレベルな知識や技術が必要だということ、さらには施工費用が高くなる傾向になることが何となくわかっていただけると思います。

次に土地についての話。都市型住宅に限った話ではありませんが、住宅を建築するには様々な制約があります。制約とは建築するために守らなければいけないルールです。まず、どんな制約、ルールがあるのかについて確認していきましょう。

様々な建築法規にしばられる都市型住宅の建築

いくつかあげると(多すぎて全てをご紹介しきれません)、防火地域や準防火地域、建ぺい率や容積率、道路との接地状況、高さ規制、北側斜線といった建築規制が存在します。適用される建築法規は個別に異なってきます。

このうち、建ぺい率は建物の建築面積を敷地面積で割った数値。例えば敷地面積が100平方メートル、建ぺい率が60%なら、建築面積は60平方メートル。また容積率は建物の延べ床面積を敷地面積で割った数値で、100平方メートルの敷地で容積率200%の場合は、延べ床面積の上限は200平方メートルとなります。

看板

建築現場にあった注意書き。作業現場で働く人々は様々な職種からなりその質も多様だ。中には夜遅くまで作業をし、近隣に騒音などで迷惑をかけトラブルになることもある

つまり敷地いっぱいに建物が建てられるわけではなく、さらに確保できるスペースにも縛りが出てくるということです。これに道路の幅員や斜線制限(周辺の日照や通風を確保するために定められています)が引っかかることで、建ぺい率と容積率より小さくなる可能性があります。

さらに住宅密集地域では、防火地域や準防火地域の縛りが出てきます。都市型住宅の多くが該当しますが、ある一定レベルの防火性能が求められます。そのために耐火性能が高い建材を使用することが要求され、これも施工費用のアップ要因の一つとなるのです。

これらの建築規制は良好な住環境や災害に強い街づくりといった観点から定められたもの。最近では景観の向上に関する建築法規なども強化されつつあります。いずれにせよ、このような制約をクリアしながら都市型住宅の建築は行わざるを得ないのです。

都市型住宅を建築する上での難しさが、さらにわかってきたのではないでしょうか。次のページでは、建て替えや新規に土地を購入し建築するというケースについて具体的に見ていきたいと思います。
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