ゲーム業界ニュース/ゲームニュース講座

PSVitaは、何がしたいのか分からない(2ページ目)

最近「Vitaって何が面白いの?」という質問を受けることがあります。そして、その返答にはやや困ります。というのも、PlayStationVitaは、実に豊富な機能を持ち、面白くなりそうなことはたくさんあるんですが、それゆえに、一言でこれが面白いと表現するのは難しいからです。

田下 広夢

執筆者:田下 広夢

ゲーム業界ニュースガイド

メディア戦略からの解放

Blu-ray対HD DVDの図

PS3発売当初は、Blu-ray Disc対HD DVDという対立構造がありました。

PSVitaのコンセプトの前に、そもそも、なんでSCEがゲーム機を作っているのかというお話をしておく必要があります。その理由の1つにソニー本体のメディア戦略があります。メディアといっても、新聞やテレビ、雑誌の方のメディアではなく、記録媒体の方のメディアですね。

PlayStation2(以下PS2)はDVDを、PlayStation3(以下PS3)はBlu-ray Disc(以下BD)を、そしてPSPはUMDを普及させる目論見がありました。DVDとBDは現在ゲームのみならず、映像ソフトの販売用、あるいは家庭での記録用などに使われていますが、UMDに関してはPSPのゲームメディアとして以外にはほとんど普及しませんでした。そもそも、回転メディアをポータブル機器に使うということ自体が、時代遅れになりつつあります。

この流れの中でPSVitaのメディアはどうなったかと言うと、PlayStationVitaカードと呼ばれるフラッシュメモリベースのカードになりました。つまり、PSVitaはソニーのメディア戦略から解放されたハードということになります。

PSVitaはポケットに入らない

PSPgoとiPhoneの図

小さくって、メディアレスで、内蔵メモリに色々入れ、より情報端末的方向性を模索したPSPgo

もう1つ、ゲームハードを市場に投入した大きな理由に、リビング進出という目的がありました。かつてPCが普及しはじめた時、これがリビングに置かれて家庭内の中心的な情報端末となるという発想がありましたが、実際にはなかなか難しく、そこにはシレッとゲームハードが鎮座していたのです。そこで、ソニーやマイクロソフトなどがゲームエンターテイメントによるリビング進出を試みましたが、時は流れ、情報端末は小型化し、1人1人が持つという時代になりつつあります。いまや、リビング争奪戦ではなく、ポケット争奪戦の時代です。

実際、PSVitaはスマートフォンに対抗する為のハードだという論調もあります。そういう目でPSVitaを見てみると、3G搭載モデルがあったり、ビデオや音楽が鑑賞できたり、ソーシャルネットワークとの連携が強化されていたりと、要素としてはスマートフォンと被る部分が多いのも確かです。しかし、全体的に見て、PSVitaはかなりゲーム機としての完成度を優先して作られています。

大きさを見ても、PSPより大きくなり、ポケットの中に入るサイズではなく、それよりもゲーム操作性や画面の大きさを優先させています。マイクもあって音声通話も可能ではありますが、Skypeなどのサービスを利用した限定的なものです。すごく簡単に言ってしまえば、スマートフォンというか、携帯電話の代わりになるようなものでありません。むしろ、スマートフォンなどに対して、ゲームハードとしての強みで差別化した商品と言えるでしょう。

ポケットに入る情報端末的な方向性は、かつてPSPgoというハードで挑戦したことがありました。メディアを捨てて小ささを追求し、内蔵メモリにゲームを含めた色んなデータを格納できるPSPの別バージョンです。しかしPSPgoはあまり売れず、そのせいかはわかりませんが、PSVitaはスマートフォンに近くなるというよりは、時代の流れを感じながら様々な機能を取り入れつつも、あくまでゲームマシンとして発展させたような作りになっています。

では一体、PSVitaは何がしたいハードなのでしょう?
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます