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いよいよ普及が本格化!? 家庭用蓄電池の最新動向(2ページ目)

東日本大震災以降、自宅の太陽光発電システムなどで創った電力を貯められる「家庭用蓄電池」への関心が高まりつつあります。そこで今回は、家庭用蓄電池に関するハウスメーカーの取り組みにフィーチャーしてみます。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

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大和ハウス工業は、グループ会社にエリーパワーという蓄電池メーカーを有しています。10月からそのエリーパワー社製の家庭用蓄電池を採用したスマートハウスの第一弾「スマ・エコ オリジナル」という新商品を発売しています。

トヨタグループの蓄電池

「豊田市低炭素社会システム実証プロジェクト」で建築された実証住宅(スマートハウス)に装着されている家庭用蓄電池(写真はトヨタホーム提供、クリックすると拡大します)

家庭用蓄電池はリチウムイオンタイプで蓄電量は2.5kWh。フル充電の場合、夏期は1室の照明・テレビ・冷蔵庫・扇風機を同時使用して約6時間弱、冬期では1室の照明・テレビ・冷蔵庫・電気ストーブの同時使用で3時間弱、それぞれ連続使用が可能になるといいます。

一方、トヨタホーム(トヨタ自動車グループ)の蓄電池は鉛タイプ(デンソー、新神戸電機、ミサワホームなどと共同開発)で蓄電量は8.4kWh。ただし使用時の蓄電量は5kWhで、これは蓄電池の寿命(8年)を維持するためということです。それでもオール電化住宅の1日の電力使用量の3分の1程度をまかなえるといいます。

トヨタホームでは蓄電池のほか、電気自動車やハイブリッド車の充電器と非常時給電システム、HEMSを組み合わせた「家と車のエネルギー連携システム」の開発について10月12日に発表しており、住宅商品への搭載もまもなく行うといいます。

大和ハウス工業とトヨタホーム双方が強調していたのが蓄電池の安全性です。中でも大和ハウス工業の場合は、製造元のエリーパワーがドイツの第三者認証機関から安全性についての認証を取得しています。住宅は人の暮らしと最も密接していますから、安全性の配慮というのは非常に重要となるのです。

蓄電量やコストなどの面に課題も

さて、蓄電池の課題についてですが、トヨタホームの蓄電池の説明にもありますが寿命の問題が第一点。設置する費用を十分に回収できるかがポイントになります。またこのほかに前述したように3種類の蓄電池の中でどれを採用するのか、電池容量をどうするのか、などもこれからの課題となりそう。

概要図

トヨタホームの「家と車のエネルギー連携システム」の概要図。電気自動車やハイブリッド車から、停電時に電力供給できるようにしたのもポイントの一つ(クリックすると拡大します)

トヨタホームの関係者からは「住宅の蓄電池の場合は、自動車ほどスペースの問題を考慮する必要がない」との説明がありました。要するに、重量やスペースが重要視される自動車と違い、住宅の場合は少々重量があったり大型であっても問題が少ないというわけです。

また大きな課題の一つがコストで、大和ハウス工業の家庭用燃料電池は160万円以上(税込み)します。こちらは今後の量産効果によるコストダウンも期待できますが、やはり太陽光発電システムと同様、国などによる補助金制度の創設が普及のカギとなりそうです。

最後に、この2社以外にもハウスメーカーはそれぞれ家庭用蓄電池の開発や実用化に取り組んでいます。ただ、中には「まだまだ実用化のレベル、ユーザーが十分にメリットを享受できるレベルにはない」という意見もあります。

住宅設備は日進月歩の世界。今後ますます性能や利便性が向上するのは間違いありません。そうした点やスマートハウス、スマートグリッドなどの進捗も含め、家庭用蓄電池の今後のあり方を注視していく必要がありますし、今後のガイド記事でも紹介していきたいと思います。

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