ギリシアの次に心配される多債務国家
ギリシャの他に、今回話題に出ているEU加盟国の債務残高は次の通りです。
イタリア180兆円、スペイン64兆円、ポルトガル16兆円、アイルランド15兆円。
イタリアは世界第7位の経済大国なので、その債務規模もずぬけて大きいものです。イタリアの政府債務のGDP比率は133%とギリシャに匹敵します(ギリシャ140%、ポルトガル93%、スペイン60%)。先日は、イタリア国債の格付けも引き下げられてしまいました。イタリアの債務問題はギリシャほど深刻ではありませんが、炎上したらそれこそ大変なことになります。
その意味では市場の注目はすでにギリシャからイタリアに移っているのではないでしょうか?さらに大きなデフォルト不安に備えて、EFSFはその保証枠を100~400兆円にまで拡充しようとしているようです。万全の安全網を作るために、EU内部での協議と合意形勢はまだまだこれからです。
もう手当てできている不安とこれから対処しないといけない不安がある、前者がギリシャであり後者がイタリアである、と理解すると分かりやすいです。もっと違う言い方をすれば、ギリシャを救うスキームは完成しましたが、他の多債務国への対応を完成させるにはまだ数年はかかる、ということになります。
新しいヨーロッパの時代
そんな正念場のときに欧州中央銀行(ECB)の総裁が交代します。ECBとはアメリカのFRBのようなもの。欧州の銀行の元締め機関です。
今まで総裁を務めてきたフランス人のトリシェさんに代わって新しい総裁になるのは、ドラギさん。この人、イタリア中央銀行の総裁です。イタリア危機が懸念されるときに、それを救う立場の代表にイタリア人がすえられるということは、実に戦略的な人事といえるかもしれません。
ギリシャ以後のイタリア対応を想定して、いろいろな本質的対策が講じられようとしています。欧州の統合に向けた包括的な政策協議は以下の項目に関するものです。
- ギリシャ国債の債務元本の5割削減(ギリシア国債の棒引き)
- 前述したEFSFの100兆ユーロへ拡充(新しい金融支援の枠組み作り)
- 欧州安定メカニズム(ESM)の稼働(2013年にEFSFからEFSMに移行)
- 共同国債の発行(EU共通の財政政策)
- 財務機能の統合(ユーロ財務省の創設)
- IMFの貸し出し可能枠の増強(より大きなデフォルト不安に対処する国際的協調)
ヨーロッパで新しい歴史が始まろうとしています。今はまさに産みの苦しみです。ゆるやかな連合がより強く統合された欧州合衆国への道を歩んでいます。
※文中では分かりやすくするために、1ユーロ=100円として換算しましたので、正確性を欠く部分があります。ご了承ください。