どうなる? 年末に向けての長期金利のゆくえ
2011年8月は野田佳彦氏で始まり、野田佳彦氏で終わった —。8月を振り返ると、私ガイドにはこうした印象が強く残ります。
政府と日本銀行は8月4日、1ドル=77円台に進行した円高阻止に向け、円売り介入と追加金融緩和を組み合わせた緊急の対策に踏み切りました。
8月2日を期限とした連邦債務の上限引き上げ問題に何とか決着を付けた米国政府、事態は落ち着きを取り戻すかに思えた矢先、今度は格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が5日に米国債の格下げを行ったことで、その動揺は世界へと伝播。欧州やアジア市場を巻き込んだ同時株安とドル安(円高)を進行させ、東日本大震災直後(3月18日)の協調介入以来、約4カ月半ぶりの単独介入をわが国に迫りました。その指揮官だったのが当時の財務大臣、野田佳彦氏です。
基軸通貨国である米国の最上位格付けが陥落するという前代未聞の出来事は、世界景気の「二番底」懸念を想起させました。S&Pは格下げ理由として、赤字削減策が10年間で2.4兆ドルでは中期的な財政運営の安定化に不十分であると説明。また、14兆ドル(1100兆円)を超える巨額債務を抱えているにもかかわらず、財政再建を巡る与野党間の溝が深く、政策運営の安定性が弱まっている点も指摘しています。
世界経済の中心である米国にリセッション(景気後退)懸念が台頭したことで、相対的に安全資産と見なされた「円」や「日本国債」が“消去法的”に買われるようになりました。その結果、日本の債券市場に投資マネーが還流し、日本の長期金利は一時1.0%を割り込み、昨年11月以来、およそ9カ月ぶりの低水準にまで下落しました(下グラフ参照)。
長期金利と住宅ローン金利には密接な関係があるため、長期金利の低下は住宅ローン金利のさらなる引き下げ余地を拡大させます。今まで以上に「借りやすい環境」が到来することを予感させます。
長期金利(新発10年物国債の利回り)の推移
しかし、南欧ギリシャに端を発した欧州債務問題は、アイルランドやポルトガルへと伝播し、さらに今夏にはイタリアとスペインにまで拡大しています。信用不安の高まりを受け、8月に両国の国債利回り(長期金利)は一時6%の大台に到達しました。イタリアの借金残高は1兆8430億ユーロ(約200兆円)、ギリシャの約6倍に相当するほどの財政悪化ぶりです。
赤字大国という意味では日本も例外ではありません。イタリアやスペインのように長期金利が急上昇する危険(リスク)を、わが国も常に内包しています。
8月30日、財務大臣だった野田氏が第95代内閣総理大臣へと登りつめました。冒頭、「野田佳彦氏で始まり、野田佳彦氏で終わった」と申し上げたのは、こうした経緯があったからです。
その野田・新首相には多くの難題が待ち構えています。新総理の誕生で日本経済はどう変わるのか?—— 次ページで金利動向を中心に、ガイドの独自予想を紹介します。