中古住宅・中古一戸建て/中古住宅の購入術

中古一戸建て購入~契約までの流れ、段取り

中古住宅を購入するときは相手の売主が個人の場合も多く、売るほうも買うほうも不慣れなことが少なくありません。信頼できる不動産業者のサポートを得て、ミスのないように段取りを進めたいものです。今回は、中古一戸建て住宅の購入物件を決めてから売買契約を締結するまでの流れや段取りについて、注意しておきたいポイントをまとめてみました。(2017年改訂版、初出:2011年8月)

執筆者:平野 雅之


中古一戸建て住宅は一つひとつの特徴や条件の違いが大きく、購入する物件を決めるまでにあれこれと悩むことも多いでしょう。「これを買おう」と決断してからでも、迷いの生じることがあるかもしれません。

しかし、いったん購入の意思表示をすれば、自分の都合に関係なく回りがどんどんと段取りを進めてしまい、よく分からないまま売買契約の日程が組まれていくこともあります。

何らかの問題が生じたときには、手遅れにならないタイミングでストップがかけられるよう、契約の流れをしっかりと理解しておくことも大切です。

そこで今回は、購入する中古一戸建て住宅を決めてから売買契約を締結するまでの流れや段取りについて、それぞれの注意点を順にみていくことにしましょう。


物件の気になる部分は再確認をする

新築住宅の場合は改めていうまでもなく「販売商品」であり、買主が気にしそうな部分はあらかじめ不動産業者側でピックアップして、適切な対応ができるように準備されています。

植栽に囲まれた一戸建て住宅

一戸建て住宅の場合には、敷地回りの確認が難しいケースも!

それに対して中古住宅は個人が売主となるケースが大半であり、販売のための下準備が万全にできているとは言い難いことも少なくありません。

購入希望者からの質問や指摘によって問題点が明らかになる場合もあるほか、購入候補物件を選ぶために見学をした時点と、いざ「この物件を買おう」と決めた時点では、気になる点や知りたいことが異なる場合も多いはずです。

真剣に購入を検討しているのであれば、2回目以上の再見学を依頼しても構いませんし、問題になりそうな点があればしっかりとクリアにしてから次のステップへ進みたいものです。


購入の申し込みで回りが動き出す

気に入った物件が見つかり、気になる点もクリアにして購入を決断したときには、まず初めに媒介業者が用意した「買付証明書」(または「購入申込書」)に署名押印をします。

住宅ローン利用の有無のほか、購入にあたっての買主側からの提示条件などがある場合にも、通常はこの書面にその内容を記載します。また、価格交渉(指値=さしね)をするときも、口頭による打診などではなく、この書面によって意思表示をすることが原則です。

ただし、「買付証明書」などの書面はあくまでも売主に対して購入意志を示すものであり、物件の状況によっては他の購入希望者に対して優先順位を確保するためのものです。そのため、買付証明書などで売買契約の締結が拘束されることはなく、後から撤回をすることも可能です。

しかし、この書面を出すことにより(あなたの知らないところで)何人もの関係者が契約に向けて動き出すことになりますから、あまり安易に考えるべきではありません。

なお、新築物件(とくに新築分譲マンション)の場合は、申し込みと同時に「申込証拠金」の支払いを求められることが多いものの、中古物件の場合にはその必要のないケースが大半です。

もし「申込証拠金」の支払いを求められた場合でも、これは購入意志が間違いないことを確認するために授受されるものであり、売買契約締結のときに支払う手付金とは性質が違います。

売買契約を締結すれば通常はそのまま手付金に充当されますが、売買契約に至らなければ「申込証拠金」は必ず全額が返金されるべきものです。

ただし、この返金をめぐってトラブルが生じる事例もありますから、「申込証拠金」の受取書などに「売買契約をしないときには全額を(無利息で)返金する」といった旨の記載がされているかどうかをしっかりと確認してください。


資金計画や諸経費の再確認をする

購入の申し込みをする前の段階で媒介業者の担当者に試算してもらうなど、資金計画のチェックはある程度できているでしょう。しかし、申し込みをした後は回りがどんどんと動いていってしまいますから、資金計画などに問題がないのか、再度念入りに確認をすることが必要です。

とくに住宅ローンの申し込み条件の確認と、媒介手数料の金額および支払い時期の確認はしっかりとやっておくべきです。

一般的に住宅ローンの審査は、借り手にとって有利な条件のものほど厳しく、不利な条件(金利や保証料が高いなど)のものほど緩やかです。

そのため、金融機関Aで断られたら金融機関Bに、さらにBで断られたらCに、などといったことを繰り返せば、いつかは貸してくれる金融機関が見つかるとしても、その融資条件は当初の計画からかけ離れたものになりかねません。

「住宅ローンを借りることさえできれば、どんな条件でも構わない」などということはないはずですから、どのような条件なら契約を続行して、それがダメなら潔く契約をやめる(売買契約書の「融資利用の特約」によって白紙解除をする)といった線引きを、あらかじめはっきりと決めておくことが大切です。

また、媒介手数料は購入の際の諸経費のなかでも大きなウエートを占めるものです。中古一戸建て住宅の場合には媒介業者を通して売買契約をすることが大半で、媒介業者に対しては原則として媒介手数料を支払わなければなりません。

媒介手数料の金額だけでなく支払いの時期についても、事前によく確認しておきましょう。


住宅ローンの事前審査を受ける

これは省略されるケースも少なくありませんが、購入の申し込み(売主の応諾)から売買契約の締結までに1~2週間程度の期間をおいて、その間に住宅ローンの事前審査(仮審査)を受ける場合があります。

事前審査の際に金融機関へ提出する書類などについては、媒介業者の担当者からの指示に従ってください。

事前審査で否認された場合には何らかの原因があるはずですから、それを解消するか、資金計画を見直すか、あるいは購入そのものを取りやめるか、早急に判断をしなければなりません。

自分でも気付いていなかったり忘れていたりするようなことが原因で、住宅ローンが否認される場合もあるため、媒介業者と一緒によく分析をしてみるべきです。

その原因については原則として金融機関が教えてくれることはありませんが、担当者によっては「ここをこうすれば良い」といった示唆を与えてくれるケースもあるでしょう。

また、事前審査によって住宅ローンの内定を得た場合でも、それは確定ではありません。売買契約を締結して住宅ローンを正式に申し込んだ後で否認されることもありますから、売買契約書には「融資利用の特約」を必ず盛り込んでもらうようにします。



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