睡眠/睡眠関連ニュース・最新情報

そうなのか!? 2011年上半期のおもしろ睡眠ニュース

睡眠に関する研究は日進月歩。2011年上半期にも、多くの研究成果がニュースになりました。夫婦げんかとの関係、夜型・朝型の違い、脳の老化との関係……。数ある研究の中でも、特に興味深かった3点をご紹介します。

坪田 聡

執筆者:坪田 聡

医師 / 睡眠ガイド

妻が睡眠不足だと夫婦げんかが増える

夫婦喧嘩

十分な睡眠は、円満な夫婦関係のためにも必要です

睡眠が不足している日には脳の働きが悪くなって、記憶力や判断力が落ち、作業の能率が悪くなったりミスが増えたりします。そして睡眠不足は、人間関係にも悪影響を及ぼします。

アメリカ・ピッツバーグ大学医学部のウェンディ・トロクセル精神科教授の研究によると、妻の睡眠に問題があると翌日に夫婦げんかをしやすいことが明らかになりました。

大きな病気をしたことがない30代前後の健康な夫婦35組を対象に、研究が行われました。寝床についてから寝つくまでの時間と総睡眠時間、睡眠中の体の動き、パートナーから優しくしてもらったか無視されたかなどを10日間、記録しました。

その結果、妻の睡眠時間が短かった翌日は、夫婦げんかをする確率がグッスリ眠れた翌日よりも高くなることが分かりました。一方、夫の睡眠時間が短くても、翌日に夫婦げんかが増えることはありませんでした。さらに、妻が寝つくまでに時間がかかった翌日には、夫婦ともに相手に無視されたり批判されたりしやすくなることも分かりました。これらの傾向は、精神的な抑うつ状態とは関係ありませんでした。

寝つけないことや睡眠不足は、個人の問題と思われがちですが、夫婦生活にも大きな影響を与えているということです。特に女性の睡眠時間と質が大事ですから、良好な夫婦関係を保つためには、お互いにストレスを減らしたり、ストレスをかけないようにする心配りが必要なようです。

夜型・朝型は野球の成績と関係する

野球

朝型人間は早朝野球が、夜型はナイターが得意なようです

勤務中はあまりさえないのに夕方から元気になる人は、「5時から男」と呼ばれてきました。さらに今年は、一部の会社で節電のため終業時刻が早まり、「4時から男」という言葉もできたようです。

人にはそれぞれ得意な時間帯があり、朝に強い人を「朝型人間」、夜に活動的になる人を「夜型人間」と呼んでいます。一般の労働者では、朝型は9時から5時の職場で、その能力をフルに発揮できます。一方、夜型は不規則勤務に強い、という特長があることが知られています。

では、野球選手でも同じような結果が出るのでしょうか?  アメリカのマーサ・ジェファーソン病院睡眠医学センターのクリストファー・ウィンター氏は、米大リーグの野球選手を対象に研究を行いました。

米大リーグ7球団の選手16人に朝型/夜型の質問票に答えてもらったところ、7人が朝型で9人が夜型でした。次に、この選手たちの2009年と2010年の打撃成績を分析しました。その結果、朝型の選手は、午後2時より前に始まった試合で打率が高く、午後2時以降に始まったゲームになると打率が下がりました。逆に夜型の選手では、遅い時刻の試合で打率が高く、早い時刻のゲームで打率が悪いことが分かりました。

私たちの体や精神は、体内時計の影響を強く受けています。仕事や勉強の能率も同様なので、自分の生活リズムを知って得意な時間帯に実力を発揮するように努めてみましょう。また、無理は禁物ですが、夜型人間でも朝型になれますし、その逆も可能です。自分が送りたい生活をイメージして、それに合わせて睡眠と覚醒のリズムを調整すると良いかもしれません。

睡眠の過不足が脳の老化を早くする

認知機能

寝不足や寝すぎだと、脳の働きが鈍ります

睡眠はとても個性的なものなので、万人に最適な睡眠時間というものはありません。ナポレオンやエジソンは3~4時間という短時間の睡眠でしたし、アインシュタインは毎日10時間以上眠っていました。

しかし、多くの人の睡眠を調べる疫学調査を行うと、7時間前後の睡眠をとっている人が最も死亡率が低く、生活習慣病や肥満、うつ病にもなりにくいことが分かっています。

では、頭の働きがもっとも良くなる睡眠時間は、どれほどなのでしょうか?

イギリス・ロンドン大学の研究者たちが、5年間の睡眠時間の変化と認知機能の関係を、35~55歳の男女5,431人を対象に調べました。具体的に認知機能とは、記憶力や推論能力、語彙力、流暢性などです。

これまでの研究で寿命や健康の点から最も良いとされている7時間睡眠を行っている人たちは、すべての認知テストにおいて最高点をとりました。また、睡眠時間が6時間の人たちが、それに次ぐ結果となりました。

一方、5年間で睡眠時間が8時間以上になった人の7~8%や、睡眠時間が6時間以下になった人の15~18%では、認知機能の低下がみられました。この認知機能の悪化は、4~7歳の老化に相当します。

この研究結果だけでは、睡眠の過不足が認知機能を低下させたのか、認知機能が低下したから睡眠時間が変化したのかはわかりません。しかし、7時間前後の睡眠時間を確保しておくことは、頭の働きを良くしておくために大切なようです。

【参考サイト】
妻が睡眠不足だと翌日に夫婦喧嘩をする可能性が高くなることが判明
朝型/夜型が野球の成績に影響?
7時間睡眠が最強説! 過不足で最大7歳も脳が老化する可能性も
【編集部おすすめの購入サイト】
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