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更新日:2011年07月08日

初の女性首相誕生へ。混迷するタイ政治の今後

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7月3日に行われたタイの総選挙で、タクシン派のタイ貢献党が勝利し、同党の比例名簿1位にいるインラック氏が、タイ史上で初の女性首相に就くことが確実となりました。混迷するタイ政局、今後はどうなっていくのでしょうか?


数々の「労働者優遇」公約は守れるのか?

今回の総選挙でタイ貢献党が勝利できたのは、貢献党が「労働者向け」公約を多く打ち出したからと考えられます。

例えば、最低賃金の引き上げ。現在のタイの最低賃金レベルは1日あたり159~221バーツ(約430~600円)ですが、それを全国一律で300バーツ(約810円)に引き上げると公約で述べました。

しかし、159バーツから300バーツとなると、ほぼ2倍近くに引き上げることになります。果たしてそんな大胆な政策が実行できるのでしょうか? 日本の民主党は、前回の総選挙で「最低賃金1000円」を公約に掲げていました。それまでの2倍どころか1.5倍にも満たない引き上げ率ですが、実行できていません。

同時に、大卒者の初任給の水準引き上げも公約で述べています。現在は平均が1万バーツ(約2万7000円)といわれるタイの大卒初任給ですが、それを1万5000バーツ(約4万円)に引き上げると公約しました。こちらもかなり大胆な政策です。企業にとって非常に負担が多くなるので、本当に実行できるのか、かなり難しい話になるでしょう。

それ以外の公約としては、学生1人1人にタブレットPCを支給するなどがあります。どの政策にしても、政府としてはそれなりに財政負担が重くなるものであり、実行すればタイの財政赤字が拡大するでしょう。賃金引き上げは公務員にも当然適用されます。そもそも実行できるかどうかさえ未知数です。

終わらないタクシン派と、反タクシン派の争い

総選挙で勝利した貢献党は、旧人民の力党の議員が多数集まって拡大した政党です。人民の力党とは、かつてタクシン元首相が所属していたタイ愛国党の議員が多数移籍した政党。つまり、愛国党→人民の力党→貢献党と、タクシン派の政党が名前を変えてずっと存続しているようなものです。

今回首相となる予定のインラック氏は、タクシン元首相の実妹。このように、かつて追放されたタクシン元首相ですが、タクシン派はまだまだタイ政界に根強く残っていて、今回有権者も彼らを支持していることが分かりました。

一方、反タクシン派も今回敗北した民主党や、市民団体の「民主市民連合」などが存在しており、タクシン派と争いを続けています。2006年にタクシン首相が追放されたとはいえ、タクシン派と反タクシン派の争いはまだまだ続くと思われます。

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