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家族の気持ちがバラバラに…会話のない家族の「4つの口癖」

【公認心理師が解説】仲のよい夫婦・親子だったのに、気がつくと会話がなく、気持ちもバラバラになっていた……。それは、親しいからこそうっかり言ってしまう「気遣いのない口ぐせ」のせいかもしれません。無自覚のうちに発してしまう言葉の影響に気づき、家庭に会話を取り戻す方法を解説します。

大美賀 直子

執筆者:大美賀 直子

公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイド

会話がない……家族の気持ちが離れてしまうのはなぜ?

会話がない家族

会話がない家族は、常に静まりかえっている


結婚当初はどんなことでも話し合っていた夫婦が、どちらともなく話を持ちかけなくなる。うるさいほどまとわりついてきた子どもたちが、いつしか話をしなくなり、部屋から出てこなくなる。家族で食卓を囲んでも会話が続かず、テレビを眺める時間だけが増えていく。それどころか、最近では同じ時間に食卓を囲むことをなんとなく避けてしまう……。

気がつくと「ベテラン家族」は、このような関係性になっていることがあります。

たしかに、家庭は時を重ねれば「温度」が落ち着いていくものです。とはいえ、同居しているのに顔を合わせたくない、お互いになるべく話をしようとしないという関係になっているなら、見直すべき点が潜んでいるのかもしれません。

<目次>  

暮らしの中で薄れがちになる家族への尊敬の念

家庭と職場では見せる顔が違うことも

家庭と職場では見せる顔が違うことも


人は、家族などの近しい間柄の人に対しては、どこか気遣いがなくなってしまうものです。しかし、どんなに近しい間柄でも、気遣いのない言葉をかけられれば、やはり深く傷つきます。

気遣いのない言葉が口をついてしまうのは、生活を共にしているうちに、相手への尊敬が薄れてしまうからなのかもしれません。

たとえ、外では一目置かれている人も、家では気がゆるみ、ゴロゴロ過ごしていたりするでしょう。家庭は、疲れた羽を休める憩いの場所なのですから、そうした姿を家族に見せあってもいいのです。とはいえ、こうした姿ばかりを見ていると、家庭の中で相手を「一目置く」気持ちは生じにくいものではないでしょうか。

すると、家族に対して「気遣いのない口ぐせ」がつい口をついてしまうことも、あるかもしれません。しかし、うっかり放った一言から家族の関係に溝を作らないためにも、言葉に配慮することはとても大切です。
 

家族との関係が悪くなってしまう4パターンの口ぐせ

何気ない一言が、家族関係に亀裂を生むことも

何気ない一言が、家族関係に亀裂を生むことも


家族などの近しい間柄の人に、思わず発して傷つけてしまう「気遣いのない口ぐせ」の代表的なものには、次の4つがあるでしょう。

1. 否定の口ぐせ
相手の思いをしっかり受け止める前に、相手の考えや行動を否定する。
例:「やめておけ」「意味がない」「そんなの無駄だ」「くだらない」

2. 決めつける口ぐせ
根拠なく、一方的に決めつける。
例:「お前には無理」「それをやっても意味がない」「できるはずがない」

3. 中断する口ぐせ
最後までしっかり聞かずに、会話を一方的にやめてしまう。
例:「あ、そう。わかった」「もういいよ」「なにそれ」

4. 馬鹿にする口ぐせ
できて当たり前だと思っていることを、相手ができないと馬鹿にする。
例:「このくらいのことができないの?」「そんなの誰でもできるよ」

近しい間柄こそ、こうした「気遣いのない口ぐせ」を何気なく発してしまうもの。しかし、言われた側は一方的に否定され、軽視されているように感じてしまいます。繰り返されると、家族への愛情や信頼、期待が薄れてしまいます。

 

家族の会話復活の方法は?チャンスは何度も訪れている 

ささいなイベントから家族関係が回復することも

小さなイベントから家族関係が回復することも


家族の心の溝が深くなると、素直な気持ちで向き合えなくなってしまうものです。

しかし、そこは一緒に人生を歩む者同士。ひょんなことから再び話し合ったり、困難を分かち合ったり、笑顔や涙を交し合ったりする場面も訪れるでしょう。

そのきっかけは、冠婚葬祭、進学、就職、引越しなどのライフイベントかもしれません。ペットや新しい友人との出会いかもしれません。もっと身近な生活上のイベントかもしれません。いずれにしても、一緒に歩んでいれば、家族の関係が改善するチャンスは訪れます。要は、そのチャンスに気づき、それを生かせるかどうかなのです。
 

温かみのある家庭にするために心がけたい3つのこと

家族の関係が改善するチャンスを持てたら、3つのことに気を配りましょう。

1. 「気遣いのない言葉」を発しないと心に決める
言ってしまってから、「あれは照れ隠しだったんだよ」「気を引きたくて言っただけなんだよ」などと言い訳しても、あまり効果はありません。どのような理由であれ、気遣いのない言葉をかけれたら人は傷つくのです。「自分もそう言われたら、良い気分がしないだろうな」と感じる言葉は、絶対に言わないようにしましょう。

2. 相手の言うことを最後までしっかり聞く
相手の言うことを最後までしっかり聞きましょう。自分の意見は、相手の話が一区切りついたところで伝えればいいことです。「しっかり聞いてもらえた」という思いが増えれば、信頼の気持ちは再び生まれてきます。

3. 「傷ついた」という思いは、できるだけその場で伝える
相手から「気遣いのない言葉」を言われて傷ついたときは、「ひどい」「傷ついた」という気持ちをその場で伝えることも大切。こうした言葉は、無自覚のうちに口をついてしまうもの。あとから注意しても、「そんなこと言ったっけ?」と言われてしまうかもしれません。「言わなくてもわかってほしい」と期待しても、無理なことも多いのです。

これらの3つのポイントを押さえて会話をすると、家族の関係が徐々に温かいものになっていくでしょう。ぜひ、試してみていただければと思います。

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