歯周病/歯周病(歯槽膿漏)の原因・症状

「下がった歯ぐき」を待ち受けるトラブルとは?

年齢と重ねると気になるのは「歯ぐきの退縮」。しかも歯ぐきが下がると新たなトラブルが起こるとしたら……? 下がった歯ぐきの問題点について紹介します。

丸山 和弘

執筆者:丸山 和弘

歯科医 / 歯の健康ガイド

そもそも正常な歯ぐきの高さとは?

歯肉退縮

歯ぐきは下がるか止まるかの一方通行のため、出来るだけ下げない努力が必要

一般には歯ぐきは下がる方向への一方通行で、下がってから元に戻ることはありません。永久歯が生え揃って安定した状態(10代後半)が、下がる前の高さと考えると良いでしょう。

下がる前の歯ぐきの高さは、歯の白い部分(エナメル質)のみが歯ぐきの上に露出した状態。この位置よりも歯ぐきが下がり、根が露出するとセメント質や、少し黄色い象牙質が歯ぐきの上に出てくるようになり、下がった状態になります。

歯ぐきを大きく下げる原因の多くは歯周病の影響です。歯を失うまで年齢とともに歯周病になる人の割合が増えるため、加齢とともに歯ぐきも下がる傾向にあります。最近では40歳で約3割、50歳で約5割以上の人が進行した歯周病になっているため、この頃に歯ぐきが下がっていることに気がつくことも多い様です。

下がった歯ぐきに起こりやすいトラブル

■根面齲蝕(こんめんうしょく)
最も厄介なのが、露出した根の表面にできる根面齲蝕と呼ばれるものです。エナメル質の縁に沿ってセメント質や象牙質の表面にできます。真っ黒に変色してしまうこともあり、根の表面に沿って虫歯が浅く広がる傾向があります。

そのため歯の周囲を根の表面に沿ってぐるっと一周真っ黒い虫歯になってしまうことも。放置すると歯が無くなるほど虫歯になったり、抜歯や神経を抜く治療が必要になります。

■知覚過敏
根の表面が露出することで、水や刺激に対して敏感に反応してしまうようになります。ひどい場合は歯の神経を抜く治療が必要ですが、噛み合わせなどを調整したり、専用の歯磨き粉などを使用して、年単位で時間が経過すると自然に治癒することもあるので、病院などで相談してみましょう。

■歯周病の進行
歯ぐきが下がったということは、すでに歯周病が進行している恐れもあります。当然歯を支えている骨も溶けてしまっている可能性が高いため、歯周病の治療をしっかりと行ない、それ以上歯ぐきが下がらないように治療を行なっておくことが大切です。

■根面齲蝕の再発
一度歯の根が露出してしまうと、根の部分は虫歯のリスクは高くなります。治療が終わってもしっかりと歯磨きを行なわなければ、虫歯が再発する可能性が高くなります。

■審美性の低下
歯ぐきから根が露出した状態だと、歯と歯と間に大きな隙間ができたり歯が長く見えたり、審美的に問題になることがあります。歯ぐきを全体的に伸ばすことはできないため、隙間が目立たないように被せもので修正すると綺麗になることもあります。

歯ぐきが下がる方が良いことも……

基本的には下がらない方が良い歯ぐきですが、唯一下がってほしいケースがあります。それはすでに歯周病に冒されている場合。歯周病になると自覚症状がなくても歯ぐきが炎症で腫れたりします。

一見正常に見える歯ぐきの位置も、実は腫れているだけ。ポケットが深い病的な歯ぐきは、本来であればポケットが浅く引き締まった状態に戻って欲しいのです。「歯石を取ったら歯ぐきが下がった」場合は、むしろ歓迎すべき状態です。
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