労務管理/解雇に関する注意点

有期労働契約の雇い止めの留意点

現在のような社会経済状況下では、正社員だけでなく、有期期間で働いている従業員が多くなっています。実態をみると正社員と変わらない基幹業務を行っている場合で、契約を更新している場合の雇い止めの留意点を見ていきましょう。

小岩 和男

執筆者:小岩 和男

労務管理ガイド

雇い止めと解雇の違い

契約更新を繰り返しているパート従業員の雇止めに要注意

契約更新を繰り返しているパート従業員の雇止めに要注意

「雇い止め」とは、期間の定めのある労働契約を反復継続(更新)した後に、期間が満了したことで労働契約を終了させること。

それと違い「解雇」は、期間満了時の問題ではなく期間の定めのない労働契約を企業側で一方的に解約することです。従って、雇止めと解雇では意味合いが大きく異なります。

なお有期労働契約(期間の定めのある労働契約)でも、その期間中に企業側で一方的に解約する場合は、解雇となります。解雇は主に正社員にかかわることです。一方雇止めについては、期間を決めて雇用されることが多い臨時(パートタイム)従業員、派遣従業員などの取扱いにかかわる問題といえるでしょう。

契約更新を繰り返した場合の雇い止めは要注意

雇い止めは、有期労働契約期間が終わった(期間満了)ことによる労働契約の終了です。契約した期間が終わったのですから退職となるのが当然で、なぜトラブルになるのか疑問に思われる方も多いことでしょう。企業での実務を考えてみるとトラブルが多い理由が浮き彫りになってきます。

実務上は、臨時従業員とはいっても、貴重な戦力として捉えていることが多いのが企業の実情。正社員同様に基幹業務を遂行している場合も多いでしょう。この場合、有期労働契約を何度も更新していることがあるものです。企業側では貴重な戦力だからこそ、有期契約を更新しているわけです。

このことは従業員側からみたらどうでしょうか。貴重な戦力であることは、従業員自身でも企業側との日常の関わり・言動などから分ります。契約を更新していることの積み重ねで、雇用継続(更新)の期待がどんどん高まります。積み重ねている実績があるわけですから、正社員と同様な業務遂行の実態があると考えられる場合が非常に多いのです。

そうした実績を度外視して、雇用契約期間が満了したから単純に退職とするとトラブルになる可能性が高くなるわけです。従業員側に立って考えると、契約を更新してもらえると思っていたら契約打ち切りとなるわけですから、トラブルになりやすいことがわかります。

次のページでは、雇い止めの注意点とトラブル防止対策について解説します。
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