子供の病気/その他の子供に多い病気

クレチン症の症状・検査・治療・予後(2ページ目)

生まれつき甲状腺ホルモンが出なかったり、少なかったりする、クレチン症。放置しておくと発達の遅れなどが出てくる可能性があるため、生まれた時に検査を行います(スクリーニング)。クレチン症の症状、検査、治療、予後について解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

クレチン症の検査

ろ紙血

生まれてから5日前後に検査を行います

甲状腺ホルモンを測定することが大切。生まれて5日前後に採血して血液をろ紙につけて乾燥させます。このろ紙血TSHが非常に高い場合(30μU/ml)は、血液中の甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモンを出させるホルモンを負荷して甲状腺刺激ホルモン(TSH)が出ているかどうかを検査しつつ、甲状腺ホルモンを内服し、結果として正常なら内服を中止します。

ろ紙血TSHが少し高い場合は、血液中の甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモンを出させるホルモンを負荷して甲状腺刺激ホルモン(TSH)が出ているかどうかを検査の結果で治療を開始します。

TSHが高い場合は、甲状腺ホルモンの補充療法を行います。この理由はできるだけ、甲状腺ホルモンが不足していると考えられる症例は、不足の原因を探すよりはまずは治療を優先することが大切になります。それだけ早期に治療しておかないと、発達や成長の遅れが元にもどりにくいということです。

2歳から3歳になると、治療を継続する必要性、原因の確定から一旦甲状腺ホルモンを中止して、血液中の甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモンを出させるホルモンを負荷して甲状腺刺激ホルモン(TSH)が出ているかどうかの検査、甲状腺超音波検査、ヨードに放射線をつけて甲状腺ホルモンの産生状態を見る甲状腺シンチグラフィーを行います。仮に中止できても、思春期頃までは定期検査が必要です。

クレチン症の治療

甲状腺が腫れていても、甲状腺ホルモンの値が正常の場合は、年に1~2回程度、甲状腺の大きさ、甲状腺ホルモンをチェックして様子を見ます。甲状腺ホルモンが低下している場合は、補充療法を行います。

治療薬は、合成甲状腺ホルモンであるサイロキシン (T4)、レボチロキシンナトリウム(チラーヂンS)を使います。この製剤は、血中で半分になる半減期が長いので、1日1 回の内服で十分です。甲状腺刺激ホルモンが正常になるように甲状腺ホルモンを補充します。
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