家具の転倒や食器の落下を防ぐには
地震でも食器が飛び出さない耐震ラッチ付きの吊り戸棚が増えている
ただし、耐震等級の高いマンションや制震・免震構造の建物でも、まったく揺れないわけではありません。免震構造の場合は、建物の形状によっては大きくゆっくりとした揺れが長く続くケースもあるようです。阪神大震災のときには建物が倒壊しなくても、倒れてきた家具などによって被害を受けた人も少なくありませんでした。
家具や家電の転倒による被害を防ぐには、突っ張り棒などで固定する方法が有効です。ただし最近のマンションは二重天井になっているケースが多く、せっかく固定しても強い力がかかると外れてしまうことも考えられます。家具を固定する場合は、梁などのコンクリート部分で突っ張るように場所を確認しましょう。
大きな家具を置かなくても生活できるように、備えつけの収納が豊富なマンションを選ぶのも対策のひとつです。キッチンの吊り戸棚から食器が落ちてくる危険もありますが、戸棚の扉が地震の揺れでロックされる「耐震ラッチ」が付いてれば安全度は高まります。またマンションの玄関扉が地震のときに開かなくなる事態を防ぐため、建物がゆがんでも扉を開け閉めできる「耐震ドア」を採用する物件も少なくありません。
非常時に非常用エレベーターは使えない
建物が倒壊を免れ、室内の家具の転倒などによる被害を避けられたとしても、問題はライフラインなどその後の生活への影響です。まず気になるのがエレベーターでしょう。今回の地震でも問題になったように、地震で電気が止まったり計画停電が実施されると、エレベーターは動かなくなります。建築基準法では高さ31mを超える高層建築物には非常用エレベーターの設置を義務づけており、地震で停電しても予備電源で作動しますが、消防隊による消火活動に使うためのもので、非常時に居住者は利用できません。
そのため、エレベーターが利用できなくなると、高層階では生活に大きな支障が出ると考えられます。計画停電など時間が限られるケースはまだしも、長時間にわたり電力がストップしたり、地震でエレベーターが壊れると、最悪の場合は避難生活を余儀なくされることもあるでしょう。ただ、今回の地震でも首都圏では、エレベーターが長期間使用できなくなったマンションは多くはないようです。
備蓄倉庫や仮設トイレを用意するケースも
また、建物が被災を免れても、停電により断水が生じるケースもあります。多くのマンションは受水槽に貯めた水をポンプで各戸に給水しており、停電するとポンプが動かなくなるためです。屋上の受水槽に水を貯める給水方式では、水が貯まっていれば電気がなくても給水が可能ですが、最近のマンションでは採用されているケースは少ないようです。
このように特に高層のマンションでは停電による生活への影響は決して小さくはありません。ただ、建物が損傷していなければ電力の供給回復により停電も解消するはずです。数日間程度の水や食料の備蓄があれば、当座の不便さを乗り切ることは可能でしょう。最近では共用スペースに備蓄倉庫を設置したり、災害時用に仮設トイレやかまどとして使えるベンチなどを用意しているマンション見かけるようになりました。今後のマンション選びでは、災害への備えも大きなポイントになりそうです。