/犬が快適な環境づくり

避難所生活、迷子のペット…ペットの防災対策と心構え

3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震では予想をはるかに超える被害が出ています。災害時は人間はもちろんのこと、多数のペットも被災します。自然災害はいつやってくるかわかりません。ペットと暮らす私達は日頃どんなところに気をつけたらいいのでしょうか。

大塚 良重

執筆者:大塚 良重

犬ガイド

3月11日に起こった東北地方太平洋沖地震はマグニチュード9.0という想像を絶するエネルギーをもって大きな爪痕を残しました。未だ被災された方々の捜索・救助は難航し、被害は予想をはるかに超えるものであることは誰の目にも明らかです。ガイド自身も被害の最も大きな地域に住む友人の安否がわからずにいたところ、やっと家族全員無事であるという情報を得ることができ、ほっとしたところでこの記事を書いています。被害の状況が少しずつわかるにつれ心痛むばかりですが、犠牲になられた方々には心よりお悔やみを申し上げるとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

ペットの救護活動

救助犬のイメージ

一つでも多くの命が助かることを願いたい…。

大きな災害が起こった時はまず人間の救助・救援が優先されます。少し落ち着いてきたところでやっとペットにも目を向ける余裕が生まれてくるものです。とは言え、近年ペットは家族であるという意識が高まってくるにつれ、ペットの救助・救援活動にも少しずつ理解が示されるようになり、積極的な活動も行われるようになりました。

記憶にまだ新しい阪神・淡路大震災を機に組織された「緊急災害時動物救援本部」(財団法人日本動物愛護協会・社団法人日本動物福祉協会・公益社団法人日本愛玩動物協会・社団法人日本獣医師会などで構成)を始め、民間の動物愛護団体などが早くも動き始めてはいますが、この困難な状況において原発の問題もあり、実質的な現地での活動には高い壁が存在し、思うにまかせないところも多々あるようです。そんな中で、まずは情報収集や、輸送ルートおよび被災動物の預かり場所の確保などが早急に必要とされるところでしょう。自分もボランティアとして参加したいと考える場合には、人間の救援活動をするボランティア団体でさえ現地に入るのはなかなか難しい状況ですし、無理な個人的行動は自分自身も危険にさらすばかりでなく、他の救援活動に支障をきたしてしまう恐れもありますから、くれぐれも安易な行動はとらず、ボランティア団体などの動向をよくチェックし、お互いに連絡を取り合って、慎重に判断・行動して頂きたいと思います。

また、なにも現地で実際の救助・救援活動をすることだけがボランティアではありません。一時預かりの場所を提供する、リレー輸送の手伝いをする、フードや毛布などを寄付する、義援金を寄付するなども立派なボランティア。多くの人達が生死を分ける中で、同様に多くのペット達も路頭に迷っています。小さなことでもかまいません、まずは自分達一人一人ができることから始めてみませんか? 一人一人の小さな想いがつながれば、一頭でも多くのペット達を救うことができるはずです。

犬は連れて行ける? 避難所生活で大切なこと

ペットと一緒に避難できた人、それも車を使って避難できた人もいるかもしれませんが、すべての避難所でペットが受け入れてもらえるというわけではありません。避難所内にペットを連れて入ることが容認されているところもあるようですが、自分達が疲れきっている上に、周囲への気配りをするのは大変なものです。

避難生活の中でかかるストレスはペットも同様。普段とまるで違う状況から体調を崩したり、場合によっては人間に対して厳しい態度に出てしまうコもいるかもしれません。可能な限り、体調管理や精神面のケアをしてあげたいものですが、それすら厳しい状況。なるべくペットを一人きりにせず、誰かしらがついていてあげられるのが理想的ではあるものの、震災直後はそれすらも難しいことです。何らかの問題が出た場合には、被災地に設置される動物救護センターに獣医師達も待機しているはずですので、そうした場所が近くにあるのであれば相談してみることをお勧めします。愛しいペットと一緒にいられるということは、飼い主側にとっても大きな心の支えになると思います。この苦難を、ペットと共にどうか乗り切ることができますようにと切に願うばかりです。

なお、ストレスという観点においては、被害がそれほど大きくなく、ほぼ平常の生活が営める東北・関東地域のペット達に関しても気配りが必要です。頻発する地震のショックからストレス性の症状を示して動物病院で診察を受けるペットも後を絶たないようです。普段以上のケアを心がけてあげましょう。

また、ペットと一緒に車の中で避難生活を送る方々につきましては、新潟県中越地震でも取り沙汰されたエコノミークラス症候群にもお気をつけください。長時間同じ姿勢でいることから静脈の血流が悪くなり、血栓がきやすくなってしまいます。最悪の場合、死に至ることもあるということですから、水分補給や軽い運動、マッサージなどで予防を。

震災で行方不明になってしまったペット

様々な事情から行方不明になってしまったペットも数多くいると思われます。自力で生き延びているコ、未だ瓦礫の下にいるコ……。その地にとどまっていれば見つかる率も高くなりますが、中には誰かに保護されたり、保健所や愛護センターに引き取られているケースもあるかもしれません。被災直後ではなかなか余裕というものはないと思いますが、引き取られた犬達の状況などについて、なるべく早めに問い合わなどすることが望まれます。
*東北地方太平洋沖地震で引き取られた犬達について、被災地の保健所・愛護センター担当の獣医師さんからお話をお聞きすることができました。被害の大きさや緊急性から、被災地域の保健所や愛護センターなどでは被災犬と思われるコ達は極力飼い主さんに戻すようにし、どうしても飼い主さんが見つからないコ達については、ゆくゆくは里親譲渡会に出すなど努力しているそうですので、ご安心くださいとのことです。なお、現在避難所などで暮らすペット達については、保健所・愛護センターの職員および獣医師会のメンバーの方々によってもペットフードを配布するなど鋭意救護活動も行われているそうです。一頭でも多くの命が助かり、早く飼い主さんのもとに戻れますように、そして飼い主さんが見つからないコ達は早く新しい家が見つかりますようにと祈るばかりです。

参考までに、Googleマップには以下のような地図が制作されていました。各保健所などの連絡先をこの記事中に記すにはスペース的な問題もありますので、以下を活用してみてください。
東北太平洋沖地震【迷子ペット探しマップ】
その他、twitterでは「#311pet」というハッシュタグをつけて投稿することで東北地方太平洋沖地震におけるペット関連情報を探ることができますし、同じく「#311petER」というハッシュタグをつけると被災動物の健康相談関連情報を見ることもできます。

次のページでは、いざという時のために考えておきたいことを。
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