震災直後のメンタルヘルスは重要
東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)が3月11日に発生し、その後も各地で多くの余震が続いています。この災害により被災された方々には、心よりお見舞い申し上げるとともに、哀悼の意を表します。
今回の地震災害が未曾有のものであったため、被災地以外の方も大きなショックと強いストレスを感じていると思います。そこで地震発生直後に、企業として取り組むべきメンタルヘルス上の諸施策について数回に分けて解説します。
地震発生時は意外と冷静に行動する
一般的に人は、災害が発生した瞬間は意外と冷静に行動します。多少異常な事態に遭遇しても、それを日常の延長線上の出来事と捉えて、逆に自分自身の心を平静に保とうとするのです。これを「日常性バイアス」または「正常化バイアス」といいます。ちょっとしたことにいちいち驚いていたのでは、日常生活に支障が生じます。そこで心の変動を抑える働きが人には備わっているのです。
私は地震発生時、渋谷の喫茶店で顧客と打ち合わせしていました。あれだけ大きな揺れがあったにも関わらず、多くの人は特に気にせず雑談にふけっていました。2回目の大きな揺れが起きた時はさすがに多くの人が立ち上がりましたが、しばらくするとまた席につき雑談を再開しました。
「日常性バイアス」は災害心理学で使われる用語で、災害で対応が遅れて被害を拡大させてしまう理由の1つと考えられています。
今回の地震で被災地以外にいた方は、JRなどの交通機関が麻痺し大勢の人が駅からあふれ出ているのを見たり、テレビで被災地の状況が映し出されたのを見て、はじめて被害の大きさに気づいたのではないでしょうか。
驚愕・不安そして無力感に陥る従業員をケアする
テレビや新聞などで地震の被害の大きさを知った方は、大きな驚きを体験します。そして繰り返し報道されるテレビの映像などを見ることで、漠然とした不安感を募らせます。被災地にいる自分の家族や友人と連絡が取れない方は、心労でますますストレスが大きくなります。そして自然の猛威の前には、なす術がないことから無力感に陥ります。
災害の激震地にいなかった方でも、大きな揺れにより自宅が損傷したり、家具や食器などの備品が破損した方も多いと思います。大規模な災害は広範囲に被害をもたらし、人の心に大きな傷跡を残しました。震災直後の従業員の心は不安定になっており、メンタルヘルス上のさまざまな留意が必要となります。
特に従業員自身が、心が不安定になっていることに気づいていない場合が多いと思われます。経営者や人事担当者、上司は従業員をケアし、傷ついた心を自分で整理できるようにしてあげましょう。心のケアなしに仕事に着手しても、決してパフォーマンスは上がりません