助成金・補助金/人材採用に関する助成金

雇用を維持する経営者のための助成金

業績が低迷しても、従業員を解雇せず雇用を維持しようと努力する経営者を支援する助成金を紹介しています。制度の説明に加えて具体的な支給要件、支給金額、対象となる休業、教育訓練の具体的内容、実際の活用法まで分かりやすく説明しています。

本田 和盛

執筆者:本田 和盛

企業の人材採用ガイド

雇用を維持する経営者のための助成金

雇用

雇用をなんとか維持したい

リーマンショック以降企業は人員削減や採用抑制を続け、失業率は高止まりしたまま。総務省がこのほど発表した2010年の労働力調査(速報値)によると、年間平均失業率は5.1%で2002年(5.4%)、2003年(5.3%)に続き、過去3番目の高さだったことがわかりました。政府としてはこの状況に歯止めをかけるべく様々な手段を講じています。

その1つが、従業員を解雇しないで雇用を維持しようとがんばる企業への助成金。雇用維持のための助成金の代表格は、「雇用調整助成金」「中小企業緊急雇用安定助成金」です。

雇用調整助成金は雇用維持型助成金の代表

雇用調整助成金は、その名のとおり企業の雇用調整を下支えするものです。雇用調整とは企業の業績が悪化したときに、残業時間の抑制・新規採用の停止・パートの雇い止め・出向・転籍・一時帰休・整理解雇と進む一連の人件費の削減プロセスのこと。

雇用調整が整理解雇段階まで進むと、一気に社会不安が高まります。雇用調整助成金は、一時帰休(自宅休業)段階で雇用調整が止まるように、企業が負担する休業期間中の賃金(休業手当)や休業中に行う教育訓練などの費用の一部を助成するのです。

なお休業手当とは、労働基準法で支払が義務付けられています。会社都合で労働者を休業させた場合、平均賃金の6割以上の休業手当を支給しなければなりません。

「雇用調整助成金」は1981年に創設された非常に歴史のある助成金。2008年秋以降の急激な景気・雇用情勢の悪化に対応するため、支給要件が緩和されたため申請件数が大幅に増加しました。

また2008年年12月には、中小事業主を手厚く保護する「中小企業緊急雇用安定助成金」が新設されました。従来から中小企業も雇用調整助成金を利用できましたが、「中小企業緊急雇用安定助成金」は雇用調整助成金よりも助成率が高く(受給額が高額に)設定されていますので有利です。

雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金の支給要件

■支給対象
一時的に休業し教育訓練を実施した場合の休業手当、教育訓練費用。出向させた場合の手当や賃金の一部。

■支給要件
業績が悪化している企業が対象です。業績の悪化は、具体的な経営指標で評価されます。次の具体的な経営指標の基準のいずれかに該当すれば、支給申請が可能です。

(1)事業活動を示す指標(売上高また生産量など)の最近3ヶ月間の月平均値が、その直前3ヶ月または前年同期に比べ5%以上減少している場合。

例えば、平成23年1~3月の売上高が、平成22年10~12月または平成22年1~3月に比べて5%以上減少していればこれに該当します。

ただし「中小企業緊急雇用安定助成金」については、直近の決算等の経常損益が赤字であれば5%未満の減少でも申請が可能です。中小企業は、前期決算が経常赤字であれば要件を満たすことになります。

(2)円高の影響により生産量、売上高などの回復が遅れている事業主が対象です。生産量等の最近3ヶ月間の月平均値が3年前の同期と比較し、15%以上減少していることに加え、直近の決算等の経常損益が赤字であれば支給申請が可能です。

この基準は、リーマンショック前の水準と比較して、生産量等が15%以上減少し赤字になっている会社を救済するという趣旨です。

雇用調整助成金・中小企業緊急雇用安定助成金は、支給対象となる期間が決まっています。雇用調整助成金は平成23年12月13日、小企業緊急雇用安定助成金は平成23年12月1日までです。この期間期限内に、それぞれ最初に助成を受けようとする期間(対象期間:1年間)の初日があれば受給できます。
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