不妊症/人工授精・体外受精・顕微授精

体外受精の治療の流れ・排卵誘発法

体外受精についての基本を3回にわたって解説。連載2回目の今回は、体外受精の治療の流れと排卵誘発法について解説します。

執筆者:池上 文尋

「体外受精-胚移植法」についての詳細を3回にわたって解説するコーナーの第2回目は「治療の流れと排卵誘発法」です。

体外受精―胚移植法 治療の流れ

体外受精

今回は治療の流れを説明します

体外受精の治療の流れを大まかに解説しましょう。

1. 排卵誘発
薬剤を活用し、卵胞を育てる

2. 卵子、精子の採集
・妻 : 採卵……超音波で確認しながら卵胞から卵子を取り出す
・夫 : 採精……採卵の当日にご自宅もしくはクリニックの(採精室)にて精子を採集するい

3. 受精・培養・分割
培養容器内で卵子と精子を受精させて培養する(顕微受精の場合はここで受精を人の手を介して行われる事になります)

4. 胚移植
受精卵(胚)を子宮内に戻す (余った胚は凍結保存することも)

5. 妊娠判定:約1カ月後に検査を行います

妊娠していなければ、再び月経周期に合わせて凍結保存した胚(受精卵)を移植します。胚の移植数は原則1個。多くても2個までです。

排卵誘発法

排卵誘発法については、これだけで何冊も本が書けるほどの研究がなされています。世界中の不妊治療に携わる先生が日々、創意工夫されています。

排卵誘発法の違いで取れる卵子の数が変わるし、カラダへの負担も大きく違いますので患者さん1人1人のカラダの状態に合わせたオーダーメイドな治療を意識した投与法を行うドクターが多いです。

排卵誘発の目的は「卵子を育て、妊娠可能な良好な卵子を作り出すサポート」をすることです。使われるメインの薬剤は下記のようなものです。

クロミッド

経口排卵誘発剤)

■ 卵子(卵胞)を育てるホルモン製剤
注射の排卵誘発剤(FSH製剤・HMG製剤)
製品名:ゴナールF(FSH)、フォリスチム(FSH)、HMGフジ、HMGフェリング

■卵子(卵胞)を育てるホルモン製剤
経口投与の排卵誘発剤
製品名:セキソビット、クロミッド

■卵子の排卵を促す薬剤
HOG製剤
製品名:HOGモチダ

■排卵誘発剤が効きやすいようにホルモンの調整を行う薬剤
GnRHアナログ製剤
製品名:スプレキュア、イトレリン

■卵子が早く排卵するのを防止する薬剤
GnRHアンタゴニスト製剤
製品名:セトロタイド、ガニレスト

このような薬剤をカラダに合わせて使う訳です。その際、投与方法に様々な名前がついています。

自然周期法、ロング法、ショート法など、何回か体外受精をしている方は分かると思いますが、初めての方にとっては「それは何?」ということになりますので少し解説をしていきたいと思います。

今、日本の中では大きく2つの排卵誘発法の流れがあります。(ここは重要です)

1つは複数卵子排卵誘発法。
排卵誘発法によって卵子を6~10個育て、それを採卵・凍結保存することにより、1回の採卵で何回も胚移植を出来る分の卵子ストックすることにより、子供を授かろうという方法。これは大部分の不妊専門クリニックが行っている方法です。

もう1つは単一卵子排卵誘発法。
クロミッドとピルを組み合わせて、排卵誘発する方法で卵子を1個育て、それを毎月体外受精していくという方法。加藤レディースクリニック系列のクリニックが中心になって実施している方法です。

患者さん向けの勉強会でもよく聞かれる質問が「どちらの方法がいいのですか?」ということ。

どちらの治療法も長所と短所を持ち合わせているため、私はカラダの状況と何を重視するのかで選択方法が変わってくると解説しています。よって、ここでは2つの流れがあることをご理解頂ければと思います。また、詳しい解説は機会を改めて書きたいと思います。

次のページでは、それぞれの排卵誘発法の方法と特徴を解説します。
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