年金

厚生年金と国民年金の違いってどんなところ?(3ページ目)

「厚生年金と国民年金って何が違うの?」いまさらだけど、もう1度確認したい公的年金のしくみの基本をご案内します。公的年金の基礎を振り返って素朴な疑問にお答えします。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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厚生年金から支給される老齢年金のしくみ

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会社員の厚生年金から支給される老齢年金は?

厚生年金から支給される老齢厚生年金は、厚生年金の加入期間の長さと現役時代の保険料の計算の基礎となった給与や賞与の額により年金額を計算します。厚生年金の保険料は、毎月の給与や賞与から天引きされますが、保険料の計算には給与や賞与の支給額ではなく、「標準報酬月額」及び「標準賞与額」を使用します。標準報酬月額は原則4・5・6月3ヵ月間の給与の平均額を計算し、平均額を一覧表に当てはめて標準報酬月額を求めます。標準報酬月額は原則1年間使用し、毎年計算します。標準賞与額は賞与の支給額の1,000円未満を四捨五入します。ただし、標準報酬月額は上限が62万円、標準賞与額は上限が1回150万円(年3回まで)となっています。

老齢厚生年金の支給額を計算するときには、はじめに厚生年金に加入した全期間の標準報酬月額と標準賞与額の平均額を計算します。ただし、過去の給与水準は現在の給与水準と異なるため、平均額を計算する前に過去の標準報酬月額や標準賞与額に「再評価率」という乗率を掛けて現在価値に直します。その上で、厚生年金に加入した全期間の平均額を計算します。

老齢厚生年金の計算は平成15年3月までの加入期間と平成15年4月以降の加入期間を別々に計算をすることになっています。これは、賞与からも給与と同じ割合の保険料を天引きするようになったのが平成15年4月以降なので、過去の平均額の計算方法が異なるためです。平成15年3月までは、毎月の給与から保険料が天引きされていたので標準報酬月額から計算した「平均標準報酬月額」で年金額を計算し、平成15年4月以降は給与と賞与から同率の保険料が天引きされているので標準報酬月額と標準賞与額から計算した「平均標準報酬額」を使って年金額の計算します。
標準報酬月額と標準報酬額

 

別々に計算した年金額を最後に合計し、物価スライド率を掛けて老齢厚生年金の支給額になります(老齢厚生年金の計算式の詳細は「すぐわかる!年金額の計算方法~ねんきん定期便の活用」をご覧ください)。

なお、老齢厚生年金を受給するには老齢年金の受給資格(原則25年以上加入)を満たしていることが必要ですが、60歳から65歳まで支給される老齢厚生年金は1年以上、65歳以降に支給される老齢厚生年金は1ヵ月でも厚生年金の加入期間があれば老齢厚生年金が支給されます。結婚後は会社を辞めて専業主婦になった人や会社を辞めてフリーランスになった人など厚生年金の加入期間が短い人は、厚生年金のもらい忘れのリスクが高くなります。毎年、誕生月に送付されるねんきん定期便などで年金の加入履歴を確認し、もらい忘れをしないように注意しましょう。

老齢年金は、公的年金に加入してから受給するまでに40年という時間があるため、自分の年金の加入履歴を正確に思いだすことが難しいでしょう。現在は、ねんきん定期便によって年金の加入履歴や将来の支給予想額を毎年確認することができます。自分がどの制度に加入していたのか、どの年金を受給することができるのか把握しておくと、リタイアメントプランも考えやすくなります。公的年金の基礎知識を十分に活用しましょう。

※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。

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