子宮の病気/子宮がん (子宮体がん・子宮頸がん)

子宮がん・卵巣がん手術治療と妊娠機能の温存

子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなど、婦人科系のがん治療が必要になった場合、多くの人が不安になるのは、その後の妊娠への影響でしょう。がんの種類別の主な手術法と、妊娠・出産の機能を守る「機能温存治療」のメリット、注意点について、わかりやすく解説します。

この記事の担当ガイド

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

婦人科系のがん治療は手術が基本

機能温存治療

機能温存治療を適応できるかどうかを担当医によく相談してみましょう

卵巣や子宮は妊娠・出産を考える上できわめて重要な臓器です。子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんなどの婦人科系のがんの場合、妊娠・出産の機能を残すことができるかどうかを、慎重に判断する必要があります。

一方で、これらのがんは基本的にはまず十分な手術を行い、腫瘍をしっかりと取ることで、がんが治る可能性が高くなるため、非常に大事とされています。 将来的な妊娠・出産の希望を伝え、子宮、卵巣を温存できる可能性があるかどうか、担当医の説明をしっかり聞いて、納得して最良の治療を受けられるようにしましょう。

婦人科系のがんは、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんの3つに分けられます。それぞれ主な治療法と、妊娠の機能を温存する治療法、条件について、解説します。

子宮頸がんの治療法……円錐切除術

子宮頸がんの場合、がんになる可能性のある「前がん病変」や、ごく初期のがんであれば、子宮頸部の異常な組織を取り除く「円錐切除術」のみで治療が可能です。

具体的には、前がん病変および、がんのしみ込みの深さが3mm以内(Ia1期)のごく初期のがんの場合は、円錐切除術を行い、子宮を残すことができます。ただし再発の可能性があるので、手術をしてからも定期的にがん検診を繰り返す必要があります。

診療の現場では、妊娠初期に行われる子宮がん検診で子宮の異常を指摘される患者さんは少なくありません。妊娠中ということも加わり、皆さん大変心配されますが、ほとんどの場合はがんではなく、がんと正常の境界病変で自然に消える可能性のある「異形成」という状態。妊娠・出産には問題ありません。

一方で、がんの疑いがある場合は、子宮頸部を切り取る円錐切除を受ける必要があります。妊娠中に円錐切除術を受けると、産道の一部である子宮頸管が切り取った分だけ短くなるので、流産や早産の危険性が少しだけ高くなります。そのため妊娠中に子宮頸管が開かないように、子宮頸管縫縮術といって子宮頸管を輪状に締める手術を行なうこともあります。ただし、この手術を受けると、妊娠10ヶ月になって締めていた糸を抜いても、くくりつけていた部分が硬くなり、いざ分娩というときに子宮頸管が裂けたり、胎児の頭が下降しにくくなるというリスクもあるため、陣痛が始まってからは子宮頸管の開きや、児頭の下がり具合など慎重にみていく必要があります。妊娠してから慌てることの無いよう、20歳を過ぎたら定期的に子宮がん検診を受けておきましょう。

また、円錐切除術では、がん細胞の広がりを顕微鏡検査でていねいに調べることが重要。もしも、この病理検査でがんの深い浸潤やリンパ管内への浸潤が判明した場合は、やはりリンパ節郭清を含む子宮摘出術が必要です。なお、このようながんでも子宮頸部を広く切除して子宮体部を残すような特殊な手術(広汎性子宮頸部摘出術)を行っている施設もありますが、安全性が確立している方法ではなく、妊娠しても早産しやすい傾向があります。

子宮体がんの治療法……ホルモン療法

子宮体がん場合、たとえ早期であっても子宮と卵巣を取り除く手術が標準的な治療法となります。手術によりがんを取り除くと同時に、がんの拡がりを正確に把握し、放射線治療や化学療法など追加治療の必要性を判断します。しかし、以下の条件を全て満たす場合は、黄体ホルモンを服用するホルモン療法が選択肢の一つとなることがあります。
  • 患者さんが将来の妊娠・出産を強く望まれている
  • がんが子宮筋層へ浸潤してなく、子宮外にも広がっていないごく初期段階である
  • がんのタイプが悪性度の低い高分化型の類内膜腺がんである
妊娠の機能を温存できる治療法が選択可能かどうかは、専用器具で子宮内膜を掻き出す「子宮内膜全面掻爬」という検査を行って、がんのタイプを調べ、MRI検査で進行度をよく検討した上で、慎重に決める必要があります。

子宮内膜全面掻爬とは、子宮内膜の組織をキューレットと呼ばれる細い金属棒の先に小さな爪のある道具で採取し、顕微鏡で検査する方法です。通常、静脈麻酔といって数分間意識がなくなる麻酔を用いて行う検査で、5分前後で終了します。検査後は、少し痛みがあり、場合によっては出血が数日続くことがあります。

ホルモン療法を行うことになった場合、子宮体がん細胞の増殖を抑える高用量の黄体ホルモン(メドロキシプロゲステロン)を4~6カ月間服用し、服用中および服用後に子宮内膜全面掻爬を行って治療効果を調べます。

ただし、ホルモン剤の効果が得られなかったり、一度がんが消失しても再発が確認された場合は、ホルモン療法でがんが治る可能性が低いため、この治療法を中止し、子宮と卵巣を摘出する手術を受けなければなりません。

ホルモン療法が有効でその後に妊娠・出産された方もおられますが、一方で、がんの再発率が高いことも知られています。そのため、無事出産しても、定期的に子宮体がんの検診を受けなければなりません。

卵巣がんの治療法……妊孕性(にんようせい)温存手術

卵巣がんのうち、卵子から発生する「悪性胚細胞腫瘍」や上皮性腫瘍の「中間型腫瘍(境界悪性腫瘍)」の場合、将来妊娠できるように、子宮や、がんに侵されていない方の卵巣を残す「妊孕能温存手術」を行うのが一般的。

しかし、卵巣がんの大部分を占める「上皮性卵巣がん」の場合は、がんの広がりの程度により取り扱いが変わってくるため、たとえ早期であっても、左右の卵巣と卵管、そして子宮も取り除くのが標準的な手術です。また大網(だいもう)という胃から垂れ下がった脂肪組織と、リンパ節も摘出し、よく調べます。がんがある程度以上広がっていた場合、術後に抗がん剤を使う治療が必要になります。

ただし、今後の妊娠・出産を強く希望される方で、手術の際にがんが片方の卵巣にとどまっているようにみえる場合は、がんがある側の卵巣と卵管のみを取り除き、また大網も切除し、反対側の卵巣と子宮を温存することがあります。このような妊孕能温存手術を行うことができるかどうかは、卵巣がんのタイプ、腹水中がん細胞の有無、リンパ節の腫れなどもよく検討した上で決める必要があります。


いずれの治療でも、治療方針、治療期間、メリット・デメリットなどの説明を十分に受け、主治医とよく相談して、自分の価値観に合う治療法を選択するようにしましょう。

更新日:2011年02月22日

(公開日:2010年12月02日)

あわせて読みたい

    この記事を読んで良かったですか?

    良かった

    6

    この記事を共有する