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世界遺産・高野山で古刹と紅葉巡り! おすすめルート&紅葉の見頃は?【和歌山県】

世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」に含まれる高野山は、弘法大師が深い山の奥に築いた天空の街。真言密教の修行道場であり、歴史ある古刹と共に美しい自然を体感できる稀有な場所の一つです。今回は、紅葉の時期にあわせて秋の高野山をご紹介します。寺院の荘厳な雰囲気と、美しい紅葉・黄葉が待っていますよ。

村田 博之

執筆者:村田 博之

名所・旧跡ガイド

世界遺産・高野山で古刹と紅葉を巡ってみませんか?

高野山の紅葉・黄葉(1)

多くの寺院が集まる高野山内の国道沿いで見られる紅葉・黄葉(2021年11月6日撮影)

紀伊半島の深い山々の中に、かの弘法大師が開いた天空都市があります。その都市の名前は高野山(こうやさん)

真言密教の修行道場として千年以上の歴史を持つ高野山は、歴史ある古刹と共に美しい自然を体感できる稀有な場所の1つなのです。

今回は秋の高野山をご紹介します。多くの人々の信仰を集める寺院の荘厳な雰囲気と共に、秋ならではの美しい紅葉・黄葉を見ることができますよ。

<目次>
 

1200年近い歴史を誇る山の中の都、高野山

高野山の紅葉・黄葉(2)

高野山内の国道沿いで見られる紅葉・黄葉。
のんびりとした散策を楽しめます(2021年11月6日撮影)

高野山Googleマップ)は、和歌山県北部にある地域。ちなみに高野山という名前の山はなく、高野山真言宗の総本山である金剛峯寺(こんごうぶじ)を中心とした地域の総称です。

高野山を開いたのは弘法大師。真言宗の開祖として真言密教の宗教道場の場を求め、険しい山の中に寺を中心とした街を切り開き、平安時代初期から1200年近くという長い年月を経て、高野山は多くの寺院が肩を寄せて集まる街となりました。まさに山の中の都ですね。

2004年には吉野、熊野と共に「紀伊山地の霊場と参詣道」として、世界文化遺産に登録されました。
 

高野山の玄関、昭和レトロの高野山駅から出発

高野山駅

高野山への入口となる高野山駅(2022年11月6日撮影)

高野山の玄関となるのは、南海電鉄 高野山ケーブルカーの高野山駅Googleマップ)。昭和初期の建築というレトロな駅舎です。2015年には高野山開創1200年を記念して、開業当時の外観へリニューアルされました。

高野山内へは駅前からバスに乗ります。アップダウンこそ少ないですが、それなりにカーブがありますので、乗り物に弱い方は酔い止めなどの対応を忘れずに。
 

女人堂から南院、浪切不動尊へ

女人堂

女人禁制だった頃の名残である女人堂(2008年11月9日撮影)

高野山駅前からのバスが最初に止まる女人堂Googleマップ)。明治時代に入るまで、高野山は女人禁制でした。高野山に参拝に来た女性は女人堂より奥に進むことが許されず、参拝を済ませて帰ったとのこと。

多い時は7カ所設けられていた女人堂の建物も、現存するのはここ1カ所のみです。
不動坂

女人堂のそばにある不動坂。この坂から先が山内です(2008年11月9日撮影)

女人堂のすぐそばにある“高野山 ”と刻まれた大きな灯籠の先は、ゆるやかな下り坂の「不動坂」。バスはこの不動坂を下って山内に入っていきます。
浪切不動尊近くの灯籠と紅葉

浪切不動尊近くの灯籠と紅葉。目にも鮮やかな風景です(2021年11月6日撮影)

不動坂を下った所には、金輪塔浪切不動尊南院、徳川家光が建立した徳川家霊台などがあります。
南院の紅葉・黄葉

南院の紅葉・黄葉(2022年11月6日撮影)

秋を迎えると、浪切不動尊近くの灯籠脇の木々や南院の周囲が、美しく色づきます。バスの中から眺めることもできますが、時間があればバスを降りて歩いてゆっくり見ることをおすすめします。
 

高野山真言宗の総本山、金剛峯寺

金剛峯寺・正門の紅葉・黄葉

金剛峯寺・正門の紅葉・黄葉(2021年11月6日撮影)

続いては、高野山真言宗の総本山である金剛峯寺Googleマップ)へ。高野山の中心寺院として、日々多くの参拝客で賑わっています。

秋を迎えると正門の前には紅葉・黄葉が色づき、参拝客を出迎えてくれます。
金剛峯寺・主殿

金剛峯寺・主殿(2021年11月6日撮影)

正門をくぐった先には主殿があり、豊臣秀吉に追放された豊臣秀次が自害したという柳の間や梅の間、国内最大の石庭である蟠龍庭(ばんりゅうてい)などを有料で拝観することができます。
 

紅葉のトンネルを抜けて、根本大塔へ

金剛峯寺から根本大塔へ向かう道の紅葉

金剛峯寺から根本大塔へ向かう道の鮮やかな紅葉(2021年11月6日撮影)

金剛峯寺から、金堂や根本大塔(こんぽんだいとう)へ向かう道には、秋になると美しい紅葉のトンネルが現れます。

あまりの色鮮やかさに心を奪われてしまいますね。
根本大塔と紅葉・黄葉

根本大塔と紅葉・黄葉(2021年11月6日撮影)

そのトンネルを通り抜けると、目の前に見えてくる塔が根本大塔Googleマップ)です。
根本大塔

根本大塔(2021年11月6日撮影)

根本大塔は、平安時代前期に70年の歳月をかけて造られた国内で初めての多宝塔といわれています。昭和初期に再建された、現在でも美しい朱塗りの塔は、圧倒的な存在感を示していますね。
 

足を伸ばして訪れたい大昔の玄関、大門

高野山・大門

高野山・大門(2021年11月6日撮影)

根本大塔と金堂がある壇上伽藍から、さらに西へ歩いて行くと大きな山門が現れます。

この門は大門Googleマップ)といい、高野山の大昔の玄関口として多くの参拝客を出迎えました。今でも車で高野山を訪れる際の玄関口に位置しています。
高野山・大門の紅葉・黄葉

高野山・大門の紅葉・黄葉(2021年11月6日撮影)

現存する門は、江戸時代中期に再建されたものですが、間近で見るとその大きさに驚きます。門の両脇でにらみを利かせる金剛力士像にも注目ですね。

大門の山内側には紅葉する木々もあり、紅葉と大門の組み合わせも楽しめますよ。
 

杉林の中の参道を歩き、奥之院へ

奥之院への参道入口

奥の院前バス停前から奥之院への参道入口(2021年11月6日撮影)

高野山の聖地とされるのは、金堂などがある壇上伽藍と奥之院です。

奥之院へ行くには、バスの終点・奥の院前バス停(Googleマップ)まで乗車して、中の橋から参道に入るルートと、奥の院口バス停(Googleマップ)で降りて杉林の中を行く表参道を歩くルートがあります。
奥之院への表参道入口と紅葉

奥の院口バス停から奥之院への表参道入口と紅葉(2021年11月6日撮影)

高野山の荘厳な雰囲気を感じ取るなら、奥の院口バス停から表参道をゆっくり散策することをおすすめします。秋になると、表参道の入口では美しい紅葉が見られますよ。
奥之院 表参道

背の高い杉に囲まれた奥之院 表参道(2008年11月9日撮影)

この表参道の両脇には、歴代の武将や武家ゆかりの人々の墓所があります。

武田信玄、上杉謙信や石田三成、豊臣家の墓所など、当時は敵同士だった武将の墓が同じ高野山の中にあるというのも不思議なものですね。戦国時代だけでなく『忠臣蔵』でおなじみの赤穂浪士の供養塔もありました。

ちなみに、山の中を歩いているにも関わらず、この表参道を歩いてみてほとんどアップダウンを感じませんでした。こちらも不思議な感覚に陥ります。
 

紅葉を愛でつつ、奥之院 弘法大師御廟へ参詣

御廟の橋近くの仏像と紅葉・黄葉

御廟の橋近くの水向地蔵と紅葉・黄葉(2021年11月6日撮影)

杉林の中の表参道を歩いていくと、清らかな流れの玉川にかかる御廟の橋Googleマップ)の前に出ます。

この玉川の畔には大小の仏像が並ぶ水向地蔵があり、多くの方々がお詣りされていました。秋には、この仏像のそばの木々が美しく色づきます。
 
奥之院・御供所の紅葉

奥之院・御供所の紅葉(2008年11月9日撮影)

また、御廟の橋近くにある御供所(ごくしょ)の中でも、美しい紅葉が楽しめます。鮮やかな色合いが、参拝に訪れた人たちの心を癒しますね。
御廟の橋の奥に、弘法大師の御廟があります

御廟の橋の奥に、弘法大師御廟があります(2021年11月6日撮影)

奥之院の一番奥には高野山の開祖、弘法大師の御廟があります。弘法大師御廟の橋から先は聖域となり、写真撮影などはできなくなります。

カメラなどは片付けて、改めて気を引き締めてお詣りしましょう。
弘法大師御廟に食事を届ける行事「生身供(しょうじんぐ)」

弘法大師御廟に食事を届ける行事「生身供(しょうじんぐ)」(2021年11月6日撮影)

ちなみに御廟では弘法大師が今も日々瞑想を続けていらっしゃるとされ、御供所で作られた食事を御廟で待つ弘法大師のもとへ僧侶が届ける「生身供(しょうじんぐ)」という行事が毎日2回行われています。

1200年以上続く伝統の行事に出会うと、改めて身が引き締まりますね。
奥之院・英霊殿前の紅葉・黄葉

奥之院・英霊殿前の紅葉・黄葉(2021年11月6日撮影)

境内にある英霊殿の前も、奥之院の美しい紅葉と黄葉のポイントの1つです。参道からも見えますので、御廟への参詣後に立ち寄ってみることをおすすめします。
 

高野山のグルメ、胡麻豆腐と高野豆腐を味わいましょう

高野豆腐、胡麻豆腐などが入った高野山の精進料理

高野豆腐、胡麻豆腐などが入った高野山の精進料理

無事に参詣も済みましたので、最後に高野山のグルメをご紹介します。

高野山と聞いて思い浮かべるのは、胡麻豆腐(ごまとうふ)に高野豆腐。胡麻豆腐は、わさび醤油をつけていただきます。

山内に点在する飲食店でどちらも精進料理のメニューとしていただくことができますし、おみやげに買い求めることもできますよ。

千年以上の歴史に育まれた高野山の秋の風景をご紹介してきましたが、いかがでしたか? 標高800メートル以上の高地ということもあり、里よりも早く例年10月下旬から11月中旬頃にかけて紅葉が見頃になります。

山の中ということもあり、遠いイメージがある高野山ですが、実は大阪市内から電車とケーブルカーで2時間強という位置にあるのです。ぜひこの秋に高野山を訪れてみて下さい。
 

高野山へのアクセス

地図:Googleマップ
アクセス:
<鉄道>
南海電鉄 観光列車「天空」と特急「こうや」

高野山へのアクセス:南海電鉄 観光列車「天空」と特急「こうや」

東海道新幹線 新大阪駅から大阪メトロ 御堂筋線に乗車して なんば駅下車。南海電鉄 難波駅から極楽橋駅まで特急「こうや」と一部の急行が直通運行。また、観光列車「天空」が橋本駅から極楽橋駅まで運行しています。
極楽橋駅での電車からケーブルカーへの乗り換え

極楽橋駅での電車からケーブルカーへの乗り換え。天上絵にも要注目!

天上絵の美しい極楽橋駅からは、高野山ケーブルカーに乗り換えて高野山駅下車。
高野山駅から高野山内へは、南海りんかんバスが運行しています。
 
  • おトクなきっぷ
南海電鉄では、高野山までの往復乗車券と山内のバスフリー乗車券をセットした「高野山・世界遺産きっぷ」を通年発売しています(当日購入可)。さらにお得となるデジタルチケット「高野山デジタルきっぷ」も、スマートフォン利用者向けに期間限定で発売しています(利用前日までに南海アプリまたはキーパス高野山での購入が必要)。

また、関西の鉄道会社からも、各鉄道会社内の駅から高野山までの往復乗車券、山内のバスフリー乗車券をセットした「高野山1dayチケット」が発売されています(期間限定、当日購入可)。

<車>
阪和道 和歌山ジャンクションから京奈和道 紀北かつらぎインターチェンジへ向かい、国道24号線から国道480号線で高野山内に。山内の各地に駐車場はあるものの、渋滞が発生すると迂回する道が少なく時間が読めなくなりますので、大門南駐車場に車を止めてバスで山内に入ることをおすすめします。
 

【関連記事】 【関連サイト】 「紅葉・黄葉の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで紅葉の名所を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
「関西の名所」に、「名所・旧跡」ガイドで関西の名所・旧跡を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
「日本の世界遺産」に、「名所・旧跡」ガイドで日本国内の世界遺産を紹介した記事の一覧をまとめてあります。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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