赤ちゃん・育児特集/子育てライフスタイル

いのちの神秘(2ページ目)

「胎内記憶」という言葉を聞いたことがありますか? 3歳前後の子どもの約3割が、お母さんのおなかの中にいたときのことや、おなかに来る前のことを覚えているそう。実際に記憶があるのかどうか証明はできませんが、胎内記憶や誕生記憶の例は、世界中で100年以上前から報告されてきました。子どもたちの話で共通しているのが、自分のお父さん、お母さんとなる人を選んで生まれてきたというもの。

執筆者:All About 編集部

おなかの赤ちゃんは感じている

 

赤ちゃん

赤ちゃんはおなかの中でパパとママの会話を聞いている。だから生まれるとすぐにパパの声、ママの声がわかる

 

河合蘭(以下、河合):
胎内記憶ではないのですが、私は妊娠中に「しまった!」と思ったことがあるんです。妊娠後期に電動ミルでローズヒップを砕いていたんですが、うっかりミルがおなかの上にのってしまって、おなかの中で赤ちゃんがものすごく驚いたんです。激しく動いて、明らかにいつもと違う動きでした。すぐ気がついて止めたら、しばらくしたら収まったのですが、かわいそうなことをしてしまったと思いました。娘は大きくなってからも、掃除機などの機械音を聞くと不安になると言うので、妊娠中のあれがよくなかったんだと反省しているんです。

生まれる直前まで、おなかの中でつながっている赤ちゃんとママ。赤ちゃんはおなかの中で、ママの消化器の音とか心臓の音とかを聞いて、五感でいろいろ感じているんです。心もつながっているから、超音波で見ると、ママが泣いていると赤ちゃんも落ち着かない様子だったりということがあるんですよ。

それから、ママだけじゃなくて、パパのこともわかっていますよね。生まれたばかりの赤ちゃんでも、パパのことはちゃんとわかっています。生まれたばかりの赤ちゃんをママが抱いて、助産師さんが抱いた後、パパが抱くと、それぞれに赤ちゃんの反応が違うんですよ。パパが抱くと「パパだ!」って顔をするんです。どの子もみんなそうですね。そして、おなかの赤ちゃんに一所懸命話しかけていたというパパは、それが実感としてわかるようですよ。
 

受精卵の「生命のダンス」

池上文尋:
映画『うまれる』にも登場する不妊治療の病院、ミオ・ファティリティ・クリニックの見尾先生が、シネマトグラフィーという装置で受精から受精後のヒトの胚の発育を撮影していらっしゃっるのですが、それを見せてもらったことがあるんです。

数億の精子と卵子が出会い、受精すると、受精卵は不思議な回転運動をしながら子宮へと向かいます。この回転は「生命のダンス」とも呼ばれているのですが、なぜこんな動きをするのか、まだわかっていないんです。こんな細胞レベルから、いのちってものすごく神秘的だと感じますね。
 

妊娠・出産はゴールではなくスタート

竹内正人さん

「妊娠・出産は自分の生まれてきたことを振り返るきっかけにもなる」と竹内正人さん

竹内正人(以下、竹内):
日本は医療技術が発達して、世界で最も安全にお産ができる国のひとつと言われています。赤ちゃんの死亡率が少なく、妊産婦死亡率も世界トップレベルで少ない国。インターネットで知りたい情報は何でも調べられるようになって、世の中は便利になった一方で、出産・育児に対して不安を抱えている方は多い。それは、妊娠するまで産み、育てるというイメージが自分のなかになくて、妊娠して初めて、情報を集めて、知識として身につけていくことが多いからかもしれないですね。

妊娠・出産を通じて、人は、ひとつのいのちが生まれてくる重さを実感したり、また、自分が生まれてきたこと、生きてきたことを振り返る機会を得ることになる。妊娠・出産はゴールじゃなくて、スタート。映画『うまれる』では、一組のカップルの産むまでの葛藤が描かれているけれど、産んだらハッピーエンドでおしまい、ではなくて、そこから家族が生まれて、また次へ続いていくんだよね。その渦中にいると、じっくり自分の気持ちを見つめる余裕がなかったりするけど、産んだ方が映画『うまれる』を見たら、「そうだったんだ、妊娠、出産って」と振り返るきっかけにもなるんじゃないかな。


>> いのちへのまなざし、いのちと向き合う勇気

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