フレンチ/東京のビストロ

デュバリー(池尻大橋)

シックなカフェ風のインテリアの中で、ゆったりと伝統的フランス料理がサービスされる。誠実な料理とワイン、使い勝手、お値打ち感、そしてホスピタリティ。デュバリーは新しい「ユル系フレンチ」の代名詞となるかもしれない。

嶋 啓祐

執筆者:嶋 啓祐

フレンチガイド

池尻大橋

田園都市線の池尻大橋駅を東側に出るとすぐに246から斜めに伸びる旧道がある。ほぼ1キロ歩くとまた246に出るのだが、その通りは今密かなカジュアルガストロノミーエリアとして夜な夜な賑わいを見せる店も多い。フレンチだとイブローニュ。外から覗いても、開店時間からぐいぐいとワインを煽る「酔っ払い(イブローニュ)」で賑わう。

その先には予約の取りずらい”ネオビストロ”としての地位をがっちりと確立したOGINOがある。リーズナブルで特徴のはっきりとした料理はシェフとマダムの二人三脚の賜物だろう。ここ数年で最も成功した家族経営レストランではないだろうか。

さて、今回ご紹介する「デュ・バリー」はその通りをずっと突き進み、そろそろ246に再び出ようかという手前にある新しいビストロだ。
内装

ウッディな落ち着いたインテリア。椅子にも注目したい。
 

 
オーナーの谷田部靖氏は銀座のレカンおよびその系列店でキャリアを積み、独立。シェフの山田勝好氏は乃木坂のレストランFeuからのキャリアップだ。クラシカルな基礎技術はFeuでしっかり仕込まれているとみていい。

店名のデュ・バリーはルイ15世の公妾であったデュ・バリー夫人からきている。マリー・アントワネットと同じ次代を生き、波乱万丈の人生を送ったことで歴史に名を残しているご婦人だ。
ライヨール

肉料理にはライヨールのナイフが用意される。


外から見える内装はウッディなカフェっぽい雰囲気だが、一歩中に入るとフランス料理の特徴である出汁の香りがふわりと漂う。これだけで食欲がのスイッチがすぐさまオンになる。椅子の触感は実に滑らかで、照明も程よく暗く、会話や笑い声さえも響くことなく天井にすーっと吸い込まれていく。ベンチシートに座るより、椅子の方がすわり心地がいいかもしれない。

前菜は1000円前後、メインは2000円前後と価格帯はビストロ料理の範囲を超えることはない。ワインは5000円前後。飲んで食べて2人で1万円を少し超えるところだろうか。しかし、この雰囲気は夜が深まるにつれ、ワインは進むだろう。居心地に飲み心地、そして酔い心地が格段にいいからに他ならない。
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