子供の病気/夜尿症・おねしょ

夜尿症(おねしょ)の原因・対策・治療法(2ページ目)

夜尿症とは、寝ている間に本人の意識なく、排尿をしてしまう病気。年齢が低く、頻度が低い場合は「おねしょ」と呼びますが、小学校に上がるころにも継続して続く場合、夜尿症と考えます。夜尿症の原因、対策、治療法について説明します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド


夜尿症(おねしょ)の治療法

夜尿症(おねしょ)の治療には生活指導が大切。以下の3原則があります。
  1. 起こさず … 膀胱に溜まった感覚を自覚させるためには尿をする前に起こしていると、かえって、起こされるから安心してしまうことがあります
  2. あせらず … 夜尿症には自律神経の影響が大きく、焦ると、自律神経の変調を起こすためにかえって、治りにくくなります
  3. 怒らず … 自律神経は、結構ストレスに反応しますので、怒られると、自律神経の変調を起こします。逆に夜尿しなかった時には褒めてあげましょう

具体的な対策としては、
夜尿アラームです。水分を感知してアラームが鳴ります

夜尿アラーム。水分を感知してアラームが鳴ります

  • 寝る2時間前からは水分をとらないようにする
  • 寝る前に必ず排尿させる
  • 昼間に膀胱の大きさを増やせるよう、午前中や午後の早い時間帯に水分を取るようにする
  • 厚めの下着にして、おむつをやめるようにする
  • 夜尿がなかった日は必ずほめる
  • 夜尿をしても叱ったり、文句を言わない
  • あまり排尿のことを注意しないようにする
  • 夜尿は自然に治るものとして接する
  • 夜尿アラーム(夜尿の水分を感知して警報の鳴る装置)を使う(有効率は62~78%)
■夜尿アラームが効くメカニズム
夜尿(おねしょ)アラームを使うことで、寝ている間に膀胱に尿を保つ力がつき、朝までおねしょをせずに持つようになると期待されています。夜尿アラームの目的は決して起こすことではありません。アラームを鳴らさずに寝ようという意識が働き、夜尿をしなくなると考えられています。ただし、アラームが鳴ると周りの人は目が覚めてしまい寝不足になるかもしれないので、使用時は注意が必要です。

こうした対策を行っても毎日夜尿をしてしまい、検査でも異常が見つからない場合は、7歳ぐらいから薬物療法を検討します。外来でも、私は毎日している子が1回でも漏らさなかったら褒めるようにしています。

夜尿症(おねしょ)の薬物療法

夜尿症(おねしょ)治療には様々な薬物が使わますが、「日本夜尿症学会」の夜尿症診療のガイドラインで効果があると言われているのが、抗うつ薬と抗利尿ホルモン、自律神経に作用する抗コリン薬です。

■抗うつ薬
アナフラニール、トフラニール、トリプタノールなどあって、尿意を感じさせ起こさせる作用、尿量を減らす作用があると言われています。錠剤が多く、粉にするとに苦くなります。効果は海外も含めて50%程度と言われていますが、投与中止で再発することも多いです。副作用としては、食欲不振、吐き気、嘔吐、不眠、眠気など。

■抗利尿ホルモン
脳の下垂体という部分から出ているホルモンで腎臓に働いて、水分を体のなかに戻す作用があります。デスモプレシンスプレーで鼻にスプレーします。効果は海外では60~80%、日本では40%ぐらい。止めると再発することが多く、56~100%が再発してしまいます。

副作用は水中毒。これは血液が薄まり、頭痛や吐き気、嘔吐などが出て、時に重篤な状態になってしまう症状なので、要注意です。夕食時を含めた寝る前2~3時間前には水分を制限する必要があります。

■抗コリン薬
ポラキスやバップフォーなどの抗コリン剤が使われます。排尿の運動を抑制したり、尿意を感じる尿量や膀胱容量の増加したり、膀胱の抑制できない収縮を減少させます。

効果は他の薬と違って低いものの、膀胱機能が関わっている夜尿症なら76.7~88%。夜尿症の膀胱機能を検査した上での使用が望まれます。
副作用は、自律神経に関係するために、便秘、下痢、ドライアイ、ノドが乾く、吐き気、味覚異常など。

まずは焦らずに生活習慣からアプローチしていくこと。なかなか改善が見られない場合は、主治医の指示に従って夜尿アラームや薬を使って、上手に治していきましょう。

参考:夜尿アラームの購入先
メディカルプロジェクト

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