VDT症候群/VDT症候群の予防・治療・対策

疲れ目解消のモニター術とは?

あなたは、パソコン画面の明るさ(輝度)を調整したことがありますか?実は、疲れ目はモニターの明るさ設定に関係があるようなのです。

執筆者:高林 克枝

あなたは、パソコン画面の明るさ(輝度)を調整したことがありますか?実は、疲れ目はモニターの明るさ設定に関係があるようなのです。

くま
パソコン作業の仕方で、疲れ目度は変わる?
先日、大手モニターメーカーのナナオから「モニターを使った作業(VDT作業)と疲労度合いについて」の調査結果(White Paper/PDF資料)が発表されました。私は眼科医とともに、この調査の企画・監修・指導に関わらせていただき、大変貴重な情報を導くことができました。

企業サイトでは、すでにコンテンツ「今すぐできる!疲れ目対策講座」も公開されましたが、最終的な結果グラフだけではわかりにくい、調査の真髄部分と具体的対処法をお伝えしたいと思います。

まず、疲れ目はどのように測ったのでしょうか。これは、眼科測定機器アコモドメーターで、目のピント調整力を測定しました。ピント調整力は、目の酷使や睡眠不足、および加齢によって低下するといわれています。つまり機能低下により、近くに焦点を合わせにくくなる、というわけです。

すでに今回の記事アドバイスを実行した人たちからは、「最近、目の痛みが少なくなった」「夕方の下まぶたのけいれんが治まった」「目の疲れ方が全然違うのにはおどろいた」「夕方の視界のぼやけが少ない」などの声が聞かれ、うれしい限りです。これは疲れ目解消法であり予防法ともいえるでしょう。

モニターの明るさを下げると、ピント調整力の低下が半減


通常、新品のパソコンは、モニター画面の明るさ(輝度)が最大の値となっています。その輝度は、250~350cd/m2(カンデラ)の値の製品が一般的ですが、近年はパソコンで動画などを見る機会が多くなり、それをよりリアルに美しく見るために、高輝度の製品が開発販売されるような傾向にあります。

モニター画面の適切な明るさ設定は、表示する情報によって違うので、ふさわしい設定で見ることが大切なのですが、あまりひんぱんに明るさ設定を変更する人は少ないのではないでしょうか。

そして、一般的なオフィスのパソコン作業、つまり文字や図像などを処理する業務では、高輝度にする必要はありませんし、それはむしろ逆効果で、長時間作業では、とても目を疲れさせてしまいます。

ですから、一般的なオフィスワークのモニターなら、周囲の明るさと合わせて、モニターの明るさ(輝度/ブライトネス)を最大値の30~40%に落とし、100~150 cd/m2(カンデラ)にすれば、かなり目の疲れを軽減できる、というのが今回の調査結果から導かれるアドバイスです。どの程度疲れないのか、といえば、標準設定に比較して、適切な輝度設定ならば、ピント調整力の低下が、ほぼ半減(朝夕比較)という大きな違いがありましたから、説得力がありますね。

詳しくは、ナナオの調査結果グラフ【レポート1】

明るさ調節方法はパソコンによって違う


くま
明るさ調節は、こんなマークで表示されることが多い
さて、「モニターの明るさなんて調節できるものなの?」「どうやって調節するのか分からないんだけど」などと、ガイドもよく尋ねられます。特に女性の方。モニター画面設定は、トホホな事実、一般の多くの人が関心外なのをよく実感することが多いものです。

具体的に明るさ調節をどう行うかは、あなたのパソコンがデスクトップならば、モニター本体のボタンから行えます。ラップトップならば、ファンクションキー操作か、特別な調節キーがついている場合もあります。慣れれば簡単なんですが、知らないと知るまでに面倒かもしれません。

モニター本体の場合は、下辺などにあるボタンのなかに[MENU]などと書かれた各種設定ボタンがあります。それをまず押して、右図のようなマークを選んで、表示されるバーを見ながらボタンを押して調節する場合や、本体の「+」「?」ボタンで調節する場合もあります。その太陽マークの脇に「ブライトネス」「輝度」などと表示されることもあります。

ラップトップの場合は、「Fn」キーを押しながら、明るさ調節キー「◎▲」「◎▼」などを押して調節することができます。

さっそく、オフィスでお使いのモニター画面の設定を確認してみてくださいね。


なんと1320回分のピント調整力測定!


さて、この眼科調査は、どんな経過で行われたのか、興味がわいてきませんか。

前頁の結果を導くためには、ピント調整力の測定機器で、なんと1320回の測定が行われているのです。11名のモニターには、3連続日曜日に集合してもらい、午前3時間、午後3時間と黙々とビジネス誌のテキストをモニターにテキスト入力するという地道な作業を繰り返してもらいました。

<測定環境設定>

●11名の20~30歳代の男女
●1日4回測定(午前の作業前後、午後の作業前後)
●1回の測定で10回連続自動計測
●3連続の日曜日に調査実施

【1回目】標準設定のモニター使用
【2回目】適切な輝度※設定のモニター使用
【3回目】適切な輝度※設定モニター使用+VDT作業指導

※適切な輝度:一般的なオフィスの照度500[lx]を想定し、約100[cd/m2]に設定

この統計値により、モニターの明るさが疲れ目に影響するという実証ができたのです。この本リサーチ以前にも予備リサーチを繰り返していますから、軽く3000回の測定は行っていることになります。

このためには、企画段階から1年以上が経過し、主催企業のナナオのほか多数の関係企業と関係者、多大な労力・時間・費用により、結果を導くことができたのです。これはパソコンユーザーにもっと快適に健康的に作業をしてほしいという願いのもと、関係者が一致団結して知力・体力ギリギリでがんばった、という感じでした。

そして「モニターがまぶしいと疲れる」という一般的な症状を科学的調査で検証することを勇気をもって決めた企業、ナナオには本当に尊敬と感謝の気持ちでいっぱいです。ぜひこの貴重な調査結果を、あなたの明日からのパソコンワークの疲れ目軽減に生かしてくださいね。

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