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アクリルアミドとは…発がん性・含む食品の危険性・減らし方

2016年3月、発がん性が疑われている「アクリルアミド」について、食品安全委員会の審議結果が取りまとめられました。ごく一般的な食品や家庭料理にも含まれるこの成分は、2002年に発表された発がん性があるという研究報告によって、食品業界に大きな波紋を呼んでいました。まとめられたリスク評価を元に、業界の対応や家庭で少しでも減らすための調理法などをご紹介します。

南 恵子

執筆者:南 恵子

NR・サプリメントアドバイザー / 食と健康ガイド

発がん性物質「アクリルアミド」の健康への影響評価

ポテトチップス

アクリルアミドは身近なファストフードやスナック菓子などに多く含まれていると報告され、世界的に注目されました


2002年スウェーデン国立食品局(NFA)の研究報告によって、ごく一般的な食品や家庭料理にも含まれている「アクリルアミド」という成分に発がん性があることが指摘されました。

その報告では、高温で調理された炭水化物を多く含む食品に高濃度で検出されたとしており、特にフライドポテトやポテトチップスなどからの検出率が高く、食品業界に大きな波紋を投げかけるものとなりました。

これにより世界中でアクリルアミドに対する関心が高まり、日本でも2011年に食品安全委員会おいて、「加熱時に生じるアクリルアミド」についての健康影響評価を行うことが発表され、2016年4月に食品安全委員会において健康への影響評価が取りまとめられました。

その評価によると、世界から敵視されたフライドポテトやポテトチップスは、実は日本人の場合は推定摂取量が意外に少ないのではないかと見られています。
 

アクリルアミドの摂取は高温調理された野菜からが56%

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トーストなどの普通の食品も、長時間高温で加熱するとアクリルアミドが増えてしまいます。

食品安全委員会では、日本人のアクリルアミド摂取による影響を見るため、平均的な摂取量を調べました。

食品中のアクリルアミド濃度と食品摂取量、摂取頻度などから、推定平均摂取量を算出。その結果、日本人の平均的な摂取量は、0.240μg/kg体重/日でした。

食品中に含まれている割合は、次の通りです。

高温調理した野菜……56%
炒めたもやし、炒めた玉ねぎ、炒めたレンコン、炒めたキャベツ、フライドポテトなど

飲料……17%
コーヒー、緑茶、ウーロン茶、麦茶等など

菓子類・糖類……16%​​​​​​​
ポテトスナック、小麦系菓子類、米菓類など

穀類……5%
パン類など

その他……6%​​​​​​​
ルウなど

意外なことに、ポテトチップスなどのスナック菓子類などよりも、炒めた野菜や、カレー用にじっくり炒めた玉ねぎなど高温調理した野菜からの方が断然摂取量が多かったのです。

ポテトチップスやフライドポテトだけを避けていても、実は大して減らすことにはなっていなかった。あるいは野菜は健康に良いと思って(もちろん有効な栄養成分を含んでいます)、積極的に食べている人でも、調理方法によってはアクリルアミドを多く摂取していたかもしれないということです。

また、飲料水(浄水で最大0.013μg/日)、喫煙は食事よりも影響が大きいとする報告もあります。確定されたわけではありませんが、喫煙されていない方の受動喫煙にも配慮が必要です。

日本人の総合的なアクリルアミド摂取量は、海外と比較して同程度、または低い数値でした。こうした結果から、食品安全委員会の評価としては、次のように判断されました。
「非発がん影響(神経や免疫に対する影響等)」については「極めてリスクは低い」。
「発がん影響」については、動物実験とヒトを対象とした摂取量とがんとの関連性の研究から、「ヒトにおける健康影響は明確ではないが、公衆衛生上の観点から懸念がないとは言えない」
私たちが普段から接している食品に広く含まれていますし、栄養のバランスを図る食べ方をする上でも、ゼロにすることは難しく、できるだけ「減らすように努力することが望ましい」としています。
 

アクリルアミドが生成される仕組みと原因

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アクリルアミドは、炭水化物を多く含む食品をあげたり、焼いたりすることで生成されます。

そもそもアクリルアミドは、食品中のアスパラギンと果糖・ブドウ糖などの還元糖が、「揚げる」「焼く」「炙る」等の120℃以上の加熱調理をされ、食材に含まれる水分が減ることで生成されます。

毒キノコや河豚毒のように、なにか特定の食品ではなく、炭水化物を含むポテトフライやポテトチップスなどのスナック菓子、クッキー、トースト、シチュー、焼肉などの様々な加熱調理をする一般の料理に含まれています。

アクリルアミドは動物実験から「遺伝毒性のある発がん物質」と判断されていて、この「遺伝毒性」とは遺伝子(DNA)を傷つけて、細胞をがん化させる性質があるとされています。ただし「遺伝」とは言っても、必ずしも「子や孫などに遺伝するものではない」とされています。

アクリルアミドを食事から摂取することとがんとの関連調査が行われていますが、一貫した傾向は見られていません。がんには喫煙や飲酒など、その他の要因も関係しているためです。
 

市販食品のアクリルアミドは企業努力で低減

アクリルアミドが話題になって以来、日本の食品事業者も低減するための対策に取り組んできました。

農林水産省の調査では、ポテト製品のアクリルアミド濃度を平成18、19年度と25年度で比較したところ、アクリルアミドの濃度の平均値は、25年度では4割以上減っていました。
 

家庭でできるアクリルアミド対策!調理のコツは和食にあり?

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アクリルアミドを低減するための調理のポイントとしては蒸す、茹でる、煮るなどの水を利用した調理が有効です。

では私たちは、家庭でどのようなことに気をつければよいのでしょうか。食品安全委員では、次のように提言されています。
 
  • 野菜や芋類を揚げる・炒める・焼く・焙るなど、高温で長時間の調理は控える。(焦がさないように、食材をよくかき混ぜる)
  • 野菜類、芋類は、切った後、加熱前に水でさらしたり、下茹でする。
  • じゃがいもは冷蔵庫にいれて貯蔵せずに、(冷蔵すると還元糖が増えるため)6℃以上を保つと、ある程度糖の増加を抑えることができる。

不思議なことに、「蒸す」「煮る」「茹でる」などの水を利用した調理ではアクリルアミドはほとんど含まれていませんでした。

こういうことから考えると、和食は、主食のごはんや麺類は炭水化物ですが「炊く」「煮る」「茹でる」という調理が多いので、アクリルアミドについてはリスクの低い調理法といえるでしょう。

ただし、フライドポテトを作るときに、アクリルアミドを心配して揚げる時間を短くすると、加熱が不十分になってしまうことが考えられます。じゃがいもを生食すると食中毒の原因があることも指摘されていますから、適切な加熱調理は必要です。
 

極端な情報に振り回されないことが大切

こういう話題が出ると、極端に怖がる人や、また不安を煽る人もいます。アクリルアミドが含まれる食品を一度摂取したから、すぐにガンになる、というお話でありません。

特に野菜や果物、海藻類、豆類、キノコ類などには、ビタミンやミネラル、ポリフェノールなどの健康に役立つ栄養成分も含まれています。不足しがちな人が、意識して食べるようにすることは健康を維持・増進するためにも必要なことでもあります。

アクリルアミドに限りませんが、古くから伝わる食養生で「五味五色五法」というように、様々な食材を様々な味付けや調理法で食すということが、バランスの良い食事になるということは理にかなっていると思います。多様なものを多様な食べ方で食べることがリスク回避にもなるのです。

日常的に炒め物や焼き物ばかりが食卓に並んでいる人は、炒め物をお浸しに置き換えるなど、ちょっと意識してみれば摂取量を減らすことにつながります。

また食事以外にも喫煙などの生活習慣などがんになるリスクが高い条件もあるのですから、バランスを考えて広い食品から栄養を取り、日頃の生活習慣も整えておくことが何より大切なことと言えるでしょう。

■参考
加熱時におけるアクリルアミドに関する情報(食品安全委員会)
食品中のアクリルアミドの含有実態調査(農林水産省)
家庭で消費者ができること(農林水産省)
家庭調理でできること(農林水産省)
 
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