アトリエの入り口には坂野さんの作品と一緒に 友人の作った陶器やオブジェなども並んでいる。 |
たぶんそんなに昔のことではないはずなのに、坂野さんの作品はまるで遠い昔からあったかのように家の中に馴染んでいて、ご飯どきになると当たり前の顔で登場しています。
その作品は、使い勝手を考えた機能的なフォルムでありながら、坂野さんらしい柔らかな人柄が表れていて、使っているとちょっとおへそがくすぐったくなるような、ほのぼの感が漂います。
工場の一角にある坂野さんのアトリエ
古い椅子たちが並ぶ。右端はインドの映画館で使っていた椅子。 |
アトリエには、古く味わいある椅子や棚が肩を寄せ合うように並んでいます。 錆がかった金属の棚、朽ちた木の板。 使い込まれた昔のものをたくさん集めてくる坂野さんに、 工場で働く人たちは「なんでそんなものが好きなの?」と目を丸くしていたとか。 工場の中で思わぬ古びた宝物を発見して、目を輝かせたこともあります。
イカ釣り機の部品で作った椅子。座面が広くて座り心地がよい。 。 |
柔らかな印象の坂野さんとは裏腹の頑強な道具たち
穴を開けるのに使うドリルにも男らしさが…。 |
かなづちも全部かたちが違う。 |
当たり前のことだと涼やかに笑う坂野さんですが、かなづちをがんがんと打ち付けるたくましい坂野さんをどうしても想像できず、ただかなづちを撫で回しては感心するばかりでした。
次ページでは、坂野さんがなぜ今のお仕事を選んだのか、きっかけを伺いました。