手術などの外科的療法について
▼手術の方法も、痔のタイプによって違うようですね。まず痔核の手術について教えてください。
精度の高い検査機器を備えた医院もあります。
曽川:外痔核は、痛みが強くて大きい場合に局所麻酔による切除手術を行います。突然、肛門の周囲に血豆のようなしこりができて激しい痛みを伴う「血栓性外痔核」では、血栓を除去すれば痛みもとれますので、外来ですぐに手術を行うこともあります。
最近は痔核を固める薬剤を直接注射するALTA療法も増えてきました。痛みも少ないですし、当院の場合は日帰りで手術しています。
▼裂肛や痔ろうの手術法についてお聞かせください。
曽川:排便で裂肛を慢性化させてしまうことにより、肛門括約筋(肛門を拡げたり縮めたりする筋肉)に炎症を起こして、指が入らないくらいに肛門が狭くなった場合には手術を行います。
肛門括約筋を少しだけ切って緩めるとともに、傷口をきれいに整えて「ドレナージ創(感染等を予防するため肛門の外側へつくる傷)」をつくるのですが、これも日帰りで施術できます。いままできつかった肛門が緩くなるので、排便が楽になったと患者さんはおっしゃいますね。
日帰り入院手術でも、手術後は安静にするなどの処置が必要となります。
膿んでいる患部(感染巣)が浅い痔ろうは、局所麻酔による日帰り手術でも対応できますが、感染巣が深い場合は腰椎麻酔による入院手術が必要となります。
痔ろうの位置や深さは肛門エコーなどを利用して診断しますが、複雑な手術の場合は入院設備の整った病院で行うほうがいいでしょう。
▼痔の手術治療にも健康保険は適用されるのでしょうか?
曽川:はい。基本的には、痔の手術も保険診療の対象になります。たとえば、当医院では痔核の根治手術は、3割負担の患者さんの場合、手術費用は概算で2万5000円となります。
排便や食生活について
▼痔の症状を改善していくためには、病院での治療以外に普段の生活の中でどんな注意が必要ですか?
曽川:治療を行うことはもちろんですが、医師の大切な役割は排便指導にあると私は考えています。排便状態が悪いことが痔を患う主な原因となるので、薬や手術とともに排便習慣の改善が、痔の治療や予防には欠かせません。
当院では以下の7項目をまとめたシートを患者さんにお渡しして排便改善を指導しています。
- 理想の排便→大人の男性の親指より少し大きめで練り歯磨き粉くらいの硬さの便が理想。
- 5分間排便のすすめ→トイレは時間をかけない、5分以内。
- したくなったら出す→我慢は便秘のもと。
- 無理やり出さない→長時間いきむより、次の便意が訪れるまで待つ。
- 何でも食べる→偏食をしないで、なんでも食べる。水分をよくとる。
ただしコーヒー、緑茶、ウーロン茶などに含まれるカフェインは利尿効果があり、飲み過ぎると便秘の原因になるので注意。
- 朝食が大事→朝食をとることで胃と腸が活動をはじめる。
- 運動が大事→散歩など適度な運動を毎日心がけると腸の働きがよくなる。
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▼自分の便が「理想の排便」なのかどうか、判断は少し難しそうですね。
曽川:そうおっしゃる患者さんもいますが、その時は「ビニール袋に手を入れて、便を触ってみてください」と言います。そこまで本気で排便を改善しないとダメですよ、ということをお伝えしているのです。
排便の重要性を理解いただくと、次回の通院時には「歯磨き粉くらいの硬さの便がでましたよ」とおっしゃってくれることもありますね。
なるほど、とても具体的でわかりやすいです。私も「理想の排便」目指して頑張ってみます。
今日はお忙しいところありがとうございました!
【取材協力】
そがわ医院 理事長 医学博士 曽川 慶同 先生
http://www.sogawa.or.jp/
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