北里大学・薬学部卒業後、製薬会社の開発部や医薬情報担当者として10年以上従事。 また、身近な人たちか…
提供:田辺三菱製薬
薬の上手な使い方
更新日:2012年04月20日
ステロイド外用剤は炎症を抑える効果の高い薬です。しかし、炎症症状があっても、水虫など、ステロイド外用剤を使えない場合があります。ステロイド外用剤の特徴を踏まえ、正しく使用することで上手なセルフメディケーションを行っていきましょう。
ステロイドの作用を正しく理解して薬の使用を!
ステロイド外用剤には、免疫システムの過剰な働きを抑えて次の炎症を起こさせない「免疫抑制作用」と、いま起きている炎症を抑える「抗炎症作用」があるため、湿疹・皮膚炎にとてもよく効くのです。炎症が起こると、ヒスタミンなどのかゆみ物質も出現してくるため、かゆみが伴うことが多いのですが、炎症そのものを抑えることでかゆみ物質も出現しなくなり、つらいかゆみが消えていきます。
ステロイド外用剤には、ほかに「血管収縮作用」「細胞増殖抑制作用」などもあり、これらが総合的に働いて炎症を抑えます(「薬の種類と選び方 、ステロイド外用剤とは」参照)。ステロイド外用剤のもつ免疫抑制作用が、かえって症状を悪化させてしまう場合があるのです。それは皮膚感染症です。
感染症とは、病原体の感染によって起こる病気です。私たちの身体は、病原体が入り込むと、免疫システムを駆使してその病原体を殺し、身体を守ろうとします。赤くなって腫れたり、かゆくなったりする炎症症状は、その場所で免疫細胞が病原体と闘っている証拠なのです。
そこに免疫抑制作用のあるステロイド外用剤を塗ると、免疫細胞の力が弱まり、病原体に対抗する力が失われてしまいます。そのため病原体の増殖を止められなくなり、皮膚感染症の症状が悪化してしまうというわけです。
皮膚感染症は、病原体の種類によって、主に真菌(カビ)性、細菌性、ウイルス性の3つに分けられます。
皮膚感染症を治すためには、これらの病原体の増殖を抑えなくてはなりません。例えば水虫は白癬菌という真菌(カビ)による皮膚感染症ですが、治療には抗真菌剤を用います。抗真菌剤は、真菌の成育や、真菌を形づくっている膜(細胞膜)の合成を阻害するなどして効果を発揮します。抗真菌剤の効果と、もともと私たちの身体に備わる免疫システムの働きによって、病原体である真菌は死んでしまうのです。
皮膚感染症は、炎症だけを抑えても治りません。病原体の増殖を抑え、殺すことではじめて根本的な治療ができるのです。
皮膚感染症の種類と代表的な病気、治療法