住みたい街の見つけ方

更新日:2009年12月25日

不動産広告で見る街情報のウソホント

広告は商品を売るために作られます。そのため、ホントのことだけが書かれているとは限りません。街の様子は現地に行けば分かりますが、その前に広告から読み取るノウハウをご紹介しましょう。

私の場合、活気のない商店街は活気がないとストレートに書きます。しかし、不動産広告で街を紹介する場合、やる気のなさそうな商店街とは決して書きはしませんし、誰もいない通りの写真を掲載することはありません。では、どうするか? それを知っていれば、不動産広告がどこまで真実を伝えているかが分かります。以下、ちょっと意地悪に見ていきましょう。

意味のない「寄り」の写真が
ホントに意味するもの

広告に寄った写真
通行人も少なく、シャッターを下ろした商店も目立つ商店街。そこで唯一活気を感じる朝市の告知を撮影
写真には全体を見せる引きの写真と、一部を見せる寄りの写真があります。街のような大きな場所の雰囲気を伝えようと思ったら本当は引きの写真のほうが良いわけですが、実際にはそうでない写真も多々見られます。例えば、商店街のアーケードの写真。商店街の名称だけがでかでかと写った写真だけが使われている場合、商店街の賑わいを映せばよいのに、どうしてだろう?と思いますね。

物価の安い商店街
こちらは物価の安さを伝えるためにあえて商品に寄った写真の例。見て納得でき、写真にあったキャプションが付けられていれば、意図が分かるはず
これは人のいない商店街を見せないためのノウハウ。何点もの写真が掲載されていて、そのうちの1点が商店街名だというのであれば、デザイン上の工夫といえますが、その1点だけしか紹介されていない場合には、間違いなく、その商店街は寂れています。同じように商品や値札などに寄った写真で、それが取り立てて安くなかったり、ボリュームたっぷりではない、あるいは珍しい品や新鮮な品でない場合には、他に撮るものが無かったと思われます。

花屋の店頭
どこの街でも花屋、ケーキ屋、ブティックはそれなりに絵になる店があるもの。それだけで素敵な店がある街と思ってはいけない
また、レストランの看板や洒落たディスプレイに寄った写真が街の紹介として使われている場合には、街並みで絵になるのはそこしかなかったと考えられます。ただ、街並みでは、何軒もしゃれた店が並んでいることはそうそうないので、これは致し方ない。その場合には、写真のキャプションに注目。キャプションで「洒落た街並みが続く」となっているのに、1軒しか写っていないのはホントじゃありませんし、「周囲には洒落た店も」も疑問。『も』と書くためには、1軒だけでなく何軒かなければいけませんが、それが写真、あるいはキャプションその他でフォローされていないようであれば、読む人が勝手に1軒以上あると過大評価してくれることを狙った、ウソではないけれど、ホントではない書き方と思われます。

大倉山梅林
12月に訪れても梅の写真は撮れない。そこで仕方なく、梅林入り口の碑を撮影
タイミングが悪くて、看板や名称だけしか撮れないということもあります。梅林や桜並木、お祭りのように撮影できる時期が限られるような写真は、花のアップのイメージ写真になったり、入り口の公園名の写真が掲載されていたり……。このような場合であれば、そこに梅林や桜並木、祭りはあるのですから、問題はなし。ただ、実際の規模が言うほどのものかどうかは、自分の目で見なくては分かりません。

「人が写っているから賑わっている」は
目の錯覚


同じ商店街や住宅街の写真で人通りがあるように見える写真があります。例えば商店街を斜めに撮っていて、通りの中央を自転車に乗って通る人がいて、向こうから歩いてくる人がいて、といった写真です。無人の商店街に比べると、人通りがあって賑わっているように見えますが、これもホントのところは分かりません。

実は寂れていた商店街
この写真は行ってみて愕然としたほど、寂れていた商店街の写真。仕方なく、色味のある商品がある八百屋さんの店頭が目立つように写真を撮った
実は私も商店街が寂れていると書けないときには、こういう撮り方をします。手前や正面に花屋さんや魚屋さん、商品が並んでいる店の店頭を入れ、誰かが歩いてくる、すれ違うのを待って撮影するのです。そうすると、実際に写っているのは2人、3人でもなんとなく絵になるのです。あるいは逆に正面に品物のたくさんある店を入れ、そこを通る人という手もあります。すると、周辺の店はシャッターを下ろしていたとしても、絵としては華やかになるわけです。

あるいは1点だけ人のいる店の前で人が来るのを待って撮影することもあります。背後が八百屋さんや花屋さんのように彩りのある商品が並ぶ店であれば、そこに入っている人物は店の人と客の2人だけでも、1枚の写真に写された情報量が多いため、人間の目は錯覚するのです。

道幅と建物の規模で
写真の見え方は変わってくる

道幅の細いお屋敷街
比較的細い道の右手には実は豪壮なお屋敷がある。しかし、階数が低く、横に長いのでいまひとつ、そんな場所とは分からない
商店街、住宅街の写真は道幅、建物の規模、並木の有無などでも見え方は変わってきます。例えば、横に長い広大なお屋敷が並んでいるとすると、その前面の道路にある程度の道幅があり、引いて撮影ができなければお屋敷全体は見えません。そのため、道幅の狭い住宅街の中のお屋敷は部分しか見えず、お屋敷然とは見えないことになります。逆に道幅が広い場所であれば、それほど大きな住宅でなくても、何軒かが写り、お屋敷街のように見える場合も。住宅の見え方によって道幅、街全体の雰囲気を推察できるのです。

また、歩道と車道の間に鬱蒼とした並木がある場合には、並木に邪魔されて住宅が見えなかったり、歩道からしか住宅の様子が撮影できず、やはり、あまり広く見えないことも。人間の目はそうしたものも織り込んで街全体の様子を読み取りますが、写真で見せようとすると、人間の目ほどには情報を織り込めないのです。そのため、本当はすてきな住宅街でもそうは見えないこともしばしばです。

坂道の写真
坂の下に街その他が写っている、階段が写っているなどすれば坂の状況が分かる
住宅街でもうひとつ、伝えにくいのは坂です。非常に急な坂があっても、写真ではそれほど急な坂には見えません。坂の多い住宅街の写真を見て、思ったよりも平坦と思っても行ってみたら急坂ということはよくあるので注意が必要。いずれにしても、写真は街のごく一部しか切り取らないもの。ホントのことは自分の目でみるしかありません。

続いて次のページでは不動産広告の文章、地図からホントのことを読み取るノウハウを見ていきましょう。


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この記事の担当ガイド

写真

中川 寛子

20年以上住まいの雑誌編集に携わる経験を生かし、実際に歩いて集めた街情報を紹介。

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