アパート・マンション経営のはじめ方

更新日:2006年09月27日

大家さんが陥る「数字のトリック」その一

「減価償却費」と「元利均等返済方式」。実は、この組み合わせには、多くの大家さんが陥ってしまう2つの「数字のトリック」が潜んでいるのです・・・。


順調に見えるアパ・マン経営にも思わぬ落とし穴が・・・

「減価償却費」

突然ですが、この言葉を聞いてあなたは何を連想しますか??

「金持ち父さんと貧乏父さん」をお読みになった方なら「言わずもがな」ですよね。
著者ロバート・キヨサキいわく、「減価償却費=よいコスト」の方程式よろしく、「金持ち大家さん」を目指す方なら減価償却費を出来るだけ多く計上するため、熱心にアパ・マンの事業計画を練っていることと思います。

しかし、「減価償却費」にもう一つのキーワード、「元利均等返済方式」が組み合わさったとき、あなたは何を連想しますか??

・・・!?

実は、この組み合わせには、アパ・マン経営に関する2つの「数字のトリック」が潜んでいるのです。この組み合わせに「ピン」とこなければ、ひょっとすると、あなたのアパ・マン経営は10年後、タイヘンなことになるかも知れません・・・

そこで、今回と次回、2度にわたって、この「数字のトリック」についてお話したいと思います。

大家さんが「数字のトリック」にはまってしまった例


先日、ある大家さんとお話をする機会がありました。
聞けば、3年前にアパートを新築し、それが表面利回り12%でブンブン回っているというのです。

「いやあ、タイミングよく低金利で借入できたので、キャッシュフローも上々。建築費はかかりましたが、設備も良いから入居者からの反応もいい。『減価償却費』もあるから節税も出来るし、アパマン経営はサイコーですね!!」

全国的に見れば空室率は拡大傾向にあり、なかなか思ったような利回りを確保できない大家さんが多い中、このように順調な経営をされている方はきっと「羨望の的」ですよね。

しかし、話を聞けば、「ほとんどフルローン」。しかも建築会社の営業マンに勧められるまま、一番金利が安い『変動金利・元利均等返済方式』で借入・・・

実はこの大家さん、例の「数字のトリック」に気づいていなかったのです。

一つ目のトリック:「減価償却費」


減価償却費については、拙著「金持ち大家さんになるアパートマンション経営塾」で詳述しておりますが、非常に単純化して説明すると、
「減価償却費は、建物の初期投資を毎年経費として分割したもの」といえます。

つまり、減価償却費を計上することによって「実際にはあなたの財布から出ていかないお金を経費にすることが出来る」のです。

これにより毎年所得から減価償却費分が経費として引かれるため、手元に残るキャッシュが、申告所得よりも少なくなるのです(資産圧縮効果)。これが、アパ・マン経営が所得税対策になるという所以です。

しかし、ここで一つ注意点があるのです。
実は、減価償却費は「経費にできる額が経年とともに少なくなってしまう」という特徴があるのです。

どういうことか?その仕組みを以下でカンタンに説明します。

「アパ・マン経営」と「2つの減価償却」


減価償却の方法には、「定額法」と「定率法」があります。
「定額法」は決められた法定耐用年数の期間で均等に割り、必要経費に算入するという方法です。
一方「定率法」は、耐用年数に応じた一定割合を必要経費に算入するという方法です。

それでは、アパ・マン経営では、どのように減価償却がなされるのでしょうか。大きく分けると下記(1)(2)となります。
(1)建物に関する減価償却:「定額法」
(2)付属設備に関する減価償却「定額法」「定率法」どちらでも選択可。ただし、「定率法」が一般的。

実はこのうち、(2)「付属設備に関する減価償却」が思わぬ落とし穴となるのです。

定率法は、初年度が一番償却額が大きく、経年とともに償却額が減少していきます。
さらに付属設備の法定耐用年数は15年だから、16年目には付属設備の減価償却費はゼロになってしまいます。

実際に数字を当てはめて計算してみましょう。
仮に1億円の建物(鉄筋コンクリート造)を新築したとします。このうち、建物全体に対する「建物」と「付属設備」の比率は、概ね7:3程度となります。ですから、「建物:7千万」「付属設備:3千万」ということになります。

紙幅の関係上、詳しい計算式は掲載しませんが、年ごとに計算していくと・・・
1年目 560万円(建物134万、付属設備426万円)
2年目 500万円(建物134万、付属設備366万円)
3年目 448万円(建物134万、付属設備314万円)
        ・
        ・
        ・
13年目 202万円(建物134万、付属設備68万円)
14年目 192万円(建物134万、付属設備58万円)
15年目 184万円(建物134万、付属設備50万円)
16年目 134万円(建物134万、付属設備 0万円)
(※計算式の詳細は上述の拙著をご参照ください)

なんと、初年度と16年目では、426万円もの開きが発生してしまうのです。
当然のことながら、経費に出来る費用が減れば、課税所得は増えることになる。つまり、年を追うごとに所得税は高くなってしまうのです。

これが、「減価償却費」の落とし穴です。気がつくと年々キャッシュフローが厳しくなってしまう方が多い原因の一つは、実はこれなのです。

新築後数年は順調ですが、ふと気づくと一気に税負担が大きくなりキャッシュフローが悪化してしまう・・・どうです、恐ろしくないですか?

ところが、実は「減価償却費」の減少に、「もう一つのトリック」が加わることで、さらに恐ろしい危機が大家さんを襲うのです!!それについてまた次回。
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この記事の担当ガイド

写真

浦田 健

大家さんからの相談件数は数千件以上!豊富な蓄積をもとにアパマン経営の知恵を伝授。

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