メンタルヘルス/その他の心の病気

窃盗癖(クレプトマニア)…病的な万引き常習とは

心の病気的な万引き常習は、クレプトマニアと呼ばれ、盗みたいという衝動が抑えられずに、万引きしてしまい、盗みの目的は、品物ではなく、盗むという行為そのものです。

中嶋 泰憲

執筆者:中嶋 泰憲

医師 / メンタルヘルスガイド

心の病気的万引き常習―クレプトマニア

数年前に、ハリウッドの有名女優がビバリーヒルズの店で万引きして逮捕といった事がありましたが、万引きして、つかまったところ、「まさかこんな人が万引きするなんて……」というケースがありますね。お金に困っているわけでもなさそうなのに、「どうして??」と思わずにはいられません。

心の病気的、万引き常習は、クレプトマニアと呼ばれ、金銭的に困っている訳でもなく、別に、欲しくもない物を、盗まなくては、いられない衝動の為に、盗んでしまいます。

※クレプトマニア:ギリシャ語のクレプト(盗み)、マニア(心の異常)を組み合わせた造語で19世紀に作られました。

クレプトマニアの特徴

盗む前には緊張が高まり、落ち着かなくなりますが、盗みを行うと、快感が生じ、緊張から開放されます。しかし、快感は長くは続かず、すぐ後悔し、罪の意識に悩まされたりします。

クレプトマニアは、女性に多く、他の心の病気の合併(うつ病、過食症など)が多く見られます。頻度は、万引き全体の5%以下と言われてます。

典型的なクレプトマニアの例

ある女性がお店に入ったところ、置いてあるブラウスをみて、急に、落ち着かず、いてもたってもいられなくなりました。そのブラウスは、彼女の好きな色でも、趣味でもなく、なおかつ、サイズもあいません。しかし、衝動的に欲しさのあまり、買い物袋にいれて盗みを働いてしまいました。

盗みを終えると、彼女はすっきりした様子で、そのまま、出口へと向かい、店を出ると、ゴミ箱に盗んだものをポイと捨てて行ってしまいました。


クレプトマニアの治療法

クレプトマニアは、稀な疾患ですが、治癒は可能です。

治療としては、行動療法や、盗みの衝動を抑える目的でSSRIと呼ばれる薬物の投与などが行われています。

行動療法では、盗もうと思うと、痛みや吐き気といった不快な感覚が呼び起こされるように、本人を訓練し、いざ、お店で、物を取りたい衝動が起きても、これらの不快な感覚が呼び覚まされて、盗みを思いとどめようとします。

思い当たる節のある方は、一人で思い悩まずに精神科(神経科)に一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

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